でも下記のガーディナーの本は時々振り返るべきもの、ということになるかと思います。
Sir Alan H. Gardiner,
Egyptian Grammar: Being an Introduction to the Study of Hieroglyphs
(Griffith Institute, Oxford, 1959. 3rd ed., revised. first published in 1927)
xxxvi, 646 p.
C. H. ゴードンは有名な「古代文字の謎:オリエント諸語の解読」(津村俊夫訳、現代教養文庫988、社会思想社、1979年)の中で、ガーディナーのこの本に言及しており、
「標準的なテキスト・ブックとしては、アラン・ガーディナーの『エジプト語文法』があるが、この本は多くの点で驚くべき本である。初級者向けの本として、エジプト語より英語へ、英語よりエジプト語へ、と累進的に練習問題をのせている。そして、それは、文法のトピックごとに各課にわけられており、全分野の文学作品からの抜粋を豊富に扱って、例をあげつつ説明をしている。その語彙集は大切なものであるが、注釈付きの徹底的な記号表はさらに不可欠なものである。初歩的なテキスト・ブックとして書かれたものが、ついにはエジプト学のバイブルになったのである。ガーディナーの『文法』を学ぶことは、エジプト語に習熟するための基礎である。どんな学者も、いかに上級にまで進んだとしても、この本を不要とするようになることはない」(p. 61)
と、最大級の賛辞を寄せています。
ガーディナーのこの本の読みにくさや、練習問題に解答欄が設けられていない不便な点については吉成薫先生が書いておられました。しかしゴードンが書いているように、記号表はきわめて有用。ガーディナーのサイン・リストについては秋山慎一先生が拡張版を出されていますが、原点はやはりこの本と言うことになります。
説明の仕方がもう古い、という批判があるかもしれません。海外で近年、文法書が複数出ているのはそのためですが、でも永井正勝先生にとっては、それらの最新刊でさえ、欧米の限定された考え方に囚われている、不都合な点がいっぱいある説明のしかたなのだ、ということになるかと思います。
永井正勝
「必携 入門ヒエログリフ -基礎から学ぶ古代エジプト語-」
(アケト、2002年)、(iv), 118 p.
が出ていますので御参照ください。
永井先生が開設されているブログ、
http://mntcabe.cocolog-nifty.com/blog/
でもエジプト語に関する情報が参考文献とともに多数紹介されており、貴重。
日本人がエジプト学をやる利点を発揮できる分野は、少なくとも3つあるのではないかと心ひそかに考えています。碑文学、宗教学、建築学の3つです。欧米の発想と違った考え方が提示できる可能性が、そこにはあるように思われます。
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でもエジプト語に関する情報が参考文献とともに多数紹介されており、貴重。
日本人がエジプト学をやる利点を発揮できる分野は、少なくとも3つあるのではないかと心ひそかに考えています。碑文学、宗教学、建築学の3つです。欧米の発想と違った考え方が提示できる可能性が、そこにはあるように思われます。