西本真一 エジ本
時として書誌の欧文特殊記号などを無視します
2008年12月31日水曜日
Gardiner 1957 (3rd ed.)
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ここ20年ほどの間に、何冊も古代エジプト語、つまりヒエログリフの文法書が海外で出版されています。HochやAllenの書いた文法書は、アメリカの大学で教科書として扱われているのではないでしょうか。吉成薫先生、秋山慎一先生、永井正勝先生といった方々により、日本でも本格的な文法書が数...
Moiso (ed.) 2008
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イタリアのエジプト学で活躍したE. スキアパレッリに関する書。 たくさんの人が原稿を寄せていますが、 S. Donadoni , S. Curto , M. C. Guidotti , A. Rocatti , A. M. Donadoni Roveri , S. Einaudi...
ローリング 2007
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ハリー・ポッター・シリーズの最終巻です。面白かった。 実は他の書評をまだ読んでません。7月下旬のエジプトへの出国日がちょうど刊行日で、成田空港で2冊を買ったものの、帰国後にようやく読了。 J. K. ローリング作、松岡祐子訳 「ハリー・ポッターと死の秘宝」、上下巻 (静山社、20...
Eaton-Krauss 2008
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イートン・クラウスによるトゥトアンクアメン(ツタンカーメン)の玉座や椅子などの報告書。1980年代から予告されていた本が、ようやく出版されました。 全体は3つに分かれており、最初に玉座、次に椅子と腰掛け、最後に足置き台が扱われます。ただ文章量は均等ではなく、最初の4つの玉座を記し...
EA (Egyptian Archaeology) 33 (2008)
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EAの最新号。イギリスのEgypt Exploration Society(EES)が年に2回、発行している紀要です。カラー写真がふんだんに掲載されており、たいへん見やすく造られている薄手の雑誌。 Egyptian Archaeology (EA): Bulleti...
2008年12月30日火曜日
Dodson and Ikram 2008
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古代エジプトの墓を包括的に扱った初めての新刊書。数千年にわたる歴史の中で、墓の造り方がどのように変わっていったのか、また身分の違いでどの程度、墓の形式が異なるのかを通覧しています。 Aidan Dodson and Salima Ikram, The Tomb in Ancien...
糸井(編) 2007
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アーシュラ・ル=グウィンによるファンタジーの代表作「ゲド戦記」へ誘うために作られた小さな冊子。無料で配布されました。 直接には「広告としての役割」を負った本で、良く考えるとこの書籍(?)は奇妙な存在です。 糸井重里(プロデューサー) 中沢新一、宮崎駿、河合隼雄、清水真砂子、上橋菜...
2008年12月29日月曜日
Goddio 2007
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ヒルティ財団から研究資金を得てなされたエジプト・カノープスにおける水中考古学調査の報告書。ロゼッタ・ストーンが見つかったことで知られているロゼッタと古都アレキサンドリアとの中間地点にカノープスは位置しています。 この町についてはストラボンによる記述の中にうかがわれ、そこではヘラク...
Janosi (ed.) [Festschrift D. Arnold] 2005
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古代エジプト建築研究の碩学、D. アーノルドへ向けた実質的な献呈論文集。でも体裁は風変わりで、書名にはそのことが副題にもまったく明記されていません。 歪んだ部分を含む本と言えないこともない、いろいろな意味で興味深い書です。 Peter Janosi (ed.), Structur...
2008年12月28日日曜日
Weatherhead 2007
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アマルナ王宮に描かれた壁画類の資料を集めた労作です。早稲田隊によるマルカタ王宮関連の調査結果との比較も随所でなされていますが、本格的な検討はこれから進められることになるかと思われます。 数年前から出版が予告されていましたけれども、ようやく上梓されました。H. フランクフォー...
2 件のコメント:
2008年12月27日土曜日
Description 1809-1818
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ナポレオンの「エジプト誌」をインターネット上で見ることができます。DVDでも購入が可能となりました。 19世紀初期の出版ですから、もう相当に古いんですけれども、今でも時折引用される、重要な位置づけにある書籍で、エジプト学における初期の基本文献の筆頭をなすもののひとつ。 ヒエログリ...
2008年12月26日金曜日
Mols 1999
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ヘラクレネウムで見つかった家具の報告書ですが、古代エジプトの木工家具にも言及している文献。 家具史に関わるエジプト学者は、実は世界で数名いるに過ぎません。 H. S. Baker ベーカーによる古代の家具に関する重要な著作( Baker 1966 )が出された後、 G. ...
2008年12月25日木曜日
Janssen 1980
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土器片や石灰岩片に文字や絵が記されたものをオストラコンと呼びますが、大英博物館には特別に大きなものが一点収蔵されており、O.BM 5634として知られています。それだけを取り上げて詳細に論じた考察で、デル・エル=メディーナ(ディール・アル=マディーナ)に関してヤンセンの書いた...
2008年12月24日水曜日
Herz-Fischler 2000
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クフ王のピラミッドのかたちはどのように決められたのか。10以上ある諸説を数学者が根底から再吟味をおこない,妥当性を検証した書。 こういう本は珍しい。いくつかの説を紹介する本はあっても、実測値とどれだけの誤差があるか,また当時の数学の知識を踏まえての仮定は正しいのか、充分に考察を重...
2008年12月23日火曜日
Wendrich 1991
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植物の繊維を編んで紐や綱を作り、これらをさらに編んで籠などを作ること(cordage, basketry)を扱った書。 本のタイトルは、演劇界で大ヒットしてその後に映画化もなされた作品「ヴァージニア・ウルフなんか怖くない」を踏襲しています。Edward Albeeの記した文が冒頭...
2008年12月22日月曜日
Roller 1998
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ヘロデ大王は、生まれたばかりのキリストの命を絶つために、2歳以下の男の子を全員殺すように謀った残虐なユダヤの王として聖書に登場し、有名ですが、この人はまた、建築をたくさん建てたことでも広く知られています。古代エジプトの建築王がアメンヘテプ3世や、その真似をしたラメセス2世だとする...
2008年12月21日日曜日
中村 2008
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マルティン・ハイデッガーの講演記録のひとつに関する訳とその解説。 「ヘーベル - 家の友」や「芸術作品のはじまり」などは理想社のハイデッガー選集で訳を読むことができましたが、この「建てる・住まう・考える」は本邦初訳で、建築論の専門家により、圧倒的で膨大な注釈が加えられてい...
2008年12月20日土曜日
DeLaine 1997
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カラカラ帝の共同浴場は、よく紹介されているように、これは大規模な娯楽施設とみなすことができます。円形闘技場のコロッセウムと双璧をなす古代ローマの建築遺構で、当時の建物の特質が顕著にうかがわれる名作。こういう公共施設は、それまでの世界のどこにもありませんでした。 題名...
2008年12月19日金曜日
Verner et al. 2006
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ピラミッドに関する最新の報告書ということであれば、エジプトのアブシールを発掘中のチェコスロヴァキア隊による、このラーネフェルエフのピラミッドを扱った刊行物になるかと思われます。 Miroslav Verner et al., T he Pyramid Complex of Ran...
2008年12月18日木曜日
Bietak, Marinatos and Palivou 2007
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牛が跳躍する姿をモティーフとする特徴的な壁画はクノッソス宮殿で見られる他、エジプトのマルカタ王宮やテル・エル=ダバァの王宮などでも見つかっています。マルカタの方はニコラカキ・ケントロウが継続して研究中。一方、テル・エル=ダバァの方は発見された後にいろいろと報告が重ねられてきま...
2008年12月17日水曜日
Sear 2006
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古代ローマの劇場についての情報をまとめた建築資料集成。イタリア国内はもちろん、トルコ・ギリシア・シリア・チュニジア・リビアなどに残る400以上の劇場の遺構を扱っています。 Frank Sear , Roman Theatres: An Architectural...
2008年12月16日火曜日
Gorringe 1882
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オベリスクを扱った本の中で、良く知られているものの中の一冊。必ずと言っていいほど引用されている基本文献です。アレキサンドリアからニューヨークまで、オベリスクを船で運ぶ仕事を請け負った人が自分で出版した本。 Henry H. Gorringe, Egyptian Obelisks ...
Hobby-Aegyptologen der Gruppe Rott 1994-1997
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118個目のピラミッドがエジプトで新たに発見されたというニュースが今年の11月上旬にありましたが、これは南サッカーラのテティ王(第6王朝)の母親であったセシェシェトのものであるとのこと。一辺が22メートル、高さについては今では5メートルしか残っていないけれども、もともとは14メー...
2008年12月15日月曜日
Schiaparelli 1927 (reprint and translated, 2007-2008)
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ディール・アル=マディーナ(デル・エル=メディーナ)にある建築家カーの墓の報告書。なかなか実物を見る機会が難しい本でしたが、2007年にレプリントが80年ぶりに出版されました。さらには本文だけを英訳したものが今年になって同じ出版社から出され、その2冊がひとつの函に収められて今では...
2008年12月14日日曜日
McKenzie 2007
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20年に1冊出るか出ないかという意味合いを持つ、重要な本です。 およそ3000年にわたる古代エジプト建築の歴史に関する書籍はすでに何冊も出ており、またエジプトのイスラーム建築についても、たくさんの本が言及しています。都市アレクサンドリアを述べたものも多く出ている状況。 しかしこの...
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