西本真一 エジ本
時として書誌の欧文特殊記号などを無視します
2009年1月31日土曜日
藤原 2008
›
フランス極東学院によるカンボジアのクメール学研究史が興味深く語られます。幾人かの高名なフランス人研究者たちについては他の本でも紹介がなされており、また経歴を調べることも可能ですけれども、歴史背景を踏まえて大きな流れを辿ったものはきわめて稀。 藤原貞朗 「オリエンタリストの憂鬱: ...
Polidori, Di Vita, Di Vita-Evrard, and Bacchielli 1998
›
リビアにある古代ギリシア・ローマ時代の遺跡を紹介した本。ほとんど全ページにカラー写真が掲載されています。写真家による作品集という趣があるので、遺跡の姿を堪能できます。 Photographies de Robert Polidori, textes de Antonino Di ...
2009年1月30日金曜日
Guksch and Polz 1998 (eds.) [Festschrift R. Stadelmann]
›
R. シュタデルマンと言えば、ピラミッド研究の第一人者として良く知られています。その彼の65歳の誕生日を記念しての献呈論文集。名だたる研究者たちが論考を寄せており、古代エジプト建築に関わるものが少なくありません。 D. アーノルド、またW. K. シンプソンの献呈論文集などと並ぶ...
2009年1月29日木曜日
Simpson 1963-1986
›
中王国時代に属するパピルス(pReisner)の読解。全4巻からなり、建造計画が記されている部分もあるため、注目される資料です。序文にもありますが、似たような記述は新王国時代にはいくつかあっても、それより前の時代ではきわめて稀となります。 第4巻が出版されたのは、第1巻が出てから...
2009年1月28日水曜日
Koenigsberger 1936
›
古代エジプトにおける扉の研究。神殿などは石造で建てられましたが、出入り口の扉は木で造られました。この際には通常の開け閉めができて、なおかつ必要に応じ、開かなくなるような仕組みを考えなければなりません。扉は重いため、柔らかい青銅製の蝶番は役に立ちませんでした。当時は鉄が自由に作れな...
2009年1月27日火曜日
JEA 94 (2008)
›
イギリスから刊行されている代表的なエジプト学の専門雑誌、J ournal of Egyptian Archaeology ( JEA )の最新号です。前号からカラー図版が掲載されるようになるなど、体裁がいくらか変更されました。新しい編集者たちによって、投稿しやすくした工夫もうか...
2009年1月26日月曜日
Imhausen 2003
›
古代エジプトの数学についての本で、題は「エジプトのアルゴリズム」。リンド数学パピルスが中心となりますが、モスクワ・パピルスなども扱われています。AeAのシリーズ(Aegyptologische Abhandlungen)から出されました。 著者の博士論文です。 Annette I...
2009年1月25日日曜日
Heisel 1993
›
古代の建築図面をくまなく集めた珍しい本。労作です。 類書は見られず、これからもしばらくは出版されないと思われる奇書。 Joachim Peter Heisel, Antike Bauzeichnungen (Wissenschaftliche Buchgesellschaft, ...
2009年1月24日土曜日
Wright 2000-2005
›
全9巻からなるフォーブスの「古代の技術史」は名著で、改訂を重ねましたが、その和訳がようやく完結に近づいてきた模様です。2003年に上巻が上梓され、今は3冊目の「下巻1」が出たらしい。けれども一冊が600~700ページもあり、大変な訳業。この分野に属する書籍では他にチャールズ・シン...
2009年1月23日金曜日
Curl 1991
›
欧米においてフリーメーソンが美術や建築に与えた大きな影響を辿った珍しい本。2002年のサー・バニスター・フレッチャー賞を受賞するなど評価が高い本格的な論考。モーツァルトの「魔笛」なども扱われます。 James Stevens Curl, The Art and Architect...
2009年1月22日木曜日
Peden 2001
›
「王朝時代のエジプトの落書き」という題を持つ書。墓や神殿、あるいは石切場などに書きつけられた古代の『落書き』を集めています。各遺構の落書きは報告書などにその都度、報告されていますが、それらを概観するという目的を持つこういう本はこれまでありません。「非公式の書きつけ」に注目している...
2009年1月21日水曜日
O'Connor and Cline 1998
›
エジプトが一番栄えた時代を生きた王のひとりがアメンヘテプ3世で、この王を単独で扱ったモノグラフ。 このように王をひとりだけ取り上げて本によく纏められるのは、一般向けでは他にトゥトアンクアメン(ツタンカーメン)やアクエンアテン(アケナテンもしくはイクナトン)、またラメセス2世などが...
2009年1月20日火曜日
Harris (ed.) 2006 (4th ed.)
›
アメリカのコロンビア大学建築・都市計画・歴史保存大学院コースの名誉教授による建築事典。版を重ね、第4版が近年出ています。1000ページを超える書で、足にうっかり落としたりすると大変危険な本。 Cyril M. Harris, Dictionary of Architecture ...
2009年1月19日月曜日
Dumarcay et Courbin 1988
›
フランス極東学院(EFEO)による刊行物で、これまで未発表であった図面を多数掲載している点は貴重。カンボジアのクメール建築遺構研究においては重要な本です。 Jacques Dumarcay, Documents graphiques de la Conservation d...
2009年1月18日日曜日
Lander 1984
›
古代ローマ時代の城塞を集成した本。四角く防壁を巡らせて、各隅に塔を建てる構えは古代ギリシアの時代に形成されました。これを継承し、各地に多数建造されたローマ時代の砦を丁寧に辿ります。 James Lander, Roman Stone Fortifications: Variat...
2009年1月17日土曜日
Voros 2007
›
ハンガリー隊の100年の歴史を追う本で、9つの調査現場を扱っています。本来は時代も地域もばらばらに異なる調査地。これらを「エジプトの神殿建築」という題で統括して纏めたのは著者の力量によるもので、興味深い。 著者は建築学で博士号を取得しており、9つの現場のうち、半数には参加していま...
2009年1月16日金曜日
De Putter and Karlshausen 1992
›
古代エジプトで用いられた石の本。地質学者とエジプト学者が組んで一冊の本を書いています。クレム夫妻による古代エジプトの石切場の総覧が出版されるまでは、唯一の詳しい本と言って良かったのですが、しかしまだ価値を失っていません。 Thierry De Putter et Christin...
2009年1月15日木曜日
Reeves 1990a and 1990b
›
N. リーヴスはイギリスのダーラム大学に博士論文を出して学位を取得しましたが、その内容は古代エジプトの「王家の谷」の総まとめで、これを執筆するため、どれだけの資料に目を通さねばならなかったのかは、下記の書の本文の前に置かれているページの分量を見れば分かります。博覧強記を誇る彼の方...
2009年1月14日水曜日
Dumarcay 1967-1973
›
アンコール・ワットと並び、アンコール地域で注目されるバイヨン寺院に関する報告書。著者はクメール建築のみならず、広く東南アジア建築を知る重鎮。特に1970年代、彼はたくさんの報告書を刊行しました。どれもフランス極東学院による調査が重ねられながらも、報告書が出ていなかった遺構ばか...
2 件のコメント:
2009年1月8日木曜日
JAEI 1:1 (January 2009)
›
今年、創刊されたエジプト学の電子ジャーナル。1月の発行ですから、現在、一番若い専門誌ということになるかと思います。アリゾナからの刊行で、年に4回の発行を予定しています。個人の年間購読料が30ドル。論文ごとの購読も将来、可能になるとのこと。 Journal of Ancient E...
2009年1月7日水曜日
Shaw and Nicholson 2008 (2nd ed.)
›
I. ショーとP. ニコルソンによる「大英博物館古代エジプト百科事典」の改訂版が出ました。すでに内田杉彦先生によって和訳されているためによく知られたもののうちのひとつ(cf. LÄ (Lexikon der Ägyptologie) 1975-1992 )ですけれども、40ページ...
2009年1月6日火曜日
Eldamaty and Trad (eds.) 2002
›
1902年に開館されたカイロ博物館の100周年を記念し、収蔵されている遺物などに関連した論考を世界中の研究者たちから募集して編まれた2巻本です。総計で1300ページ以上、130編の論考を所収。 日本からは2編が寄稿されており、河合望先生と吉村作治先生による論考がそれぞれ第1巻と第...
2009年1月5日月曜日
Killen 2003
›
古代エジプトの家具に関する一般向けの紹介。たぶん、キレンの執筆によるごく最近の論考です。家具の寸法分析などを記述。 キレンがこうした考察を書くのはおそらく初めてで、注目されます。 Geoffrey Killen, "Woodworking in Ancient Egyp...
2009年1月4日日曜日
Kemp 2006 (2nd ed.)
›
大まかには古代エジプト文明の通史に含まれる論考ですが、経済人類学など現代思想の成果も取り入れているため、類書とは一線を画しています。 副題が良く本書の性格をあらわしており、ひとつの文明がどのように誕生し、展開を遂げたのかを掘り下げて論じています。 Barry J. Kemp, A...
2009年1月3日土曜日
Hellmann 2002
›
古代ギリシア建築に関する包括的な解説書。建造技術に興味がある研究者にとっては必携の、きわめて重要な本です。全4巻の刊行が予定されており、これまで第2巻まで出版されました。 出版社Picardはパリの老舗の本屋さんで、とても有名です。 Marie-Christine He...
2009年1月2日金曜日
Robins 1994
›
古代エジプトの美術を専門とする学者による書で、壁画に興味があるものにとっては基本文献となります。 Goettinger Miszellen や Discussions in Egyptology といった、比較的審査の緩い専門雑誌において多く考察を重ね、10数年経って集大成さ...
2009年1月1日木曜日
Gardiner 1935
›
古代エジプトにおける「夢」と言えば、トトメス4世の「夢の碑文」が有名。ギザの大スフィンクスの前足の間に立てられている大きなステラに、その内容が刻まれています。 当時は王子であったトトメス4世が大スフィンクスの傍らで寝ていた時に、「砂に覆われている自分(=スフィンクス)を掘り...
2008年12月31日水曜日
Gardiner 1957 (3rd ed.)
›
ここ20年ほどの間に、何冊も古代エジプト語、つまりヒエログリフの文法書が海外で出版されています。HochやAllenの書いた文法書は、アメリカの大学で教科書として扱われているのではないでしょうか。吉成薫先生、秋山慎一先生、永井正勝先生といった方々により、日本でも本格的な文法書が数...
Moiso (ed.) 2008
›
イタリアのエジプト学で活躍したE. スキアパレッリに関する書。 たくさんの人が原稿を寄せていますが、 S. Donadoni , S. Curto , M. C. Guidotti , A. Rocatti , A. M. Donadoni Roveri , S. Einaudi...
ローリング 2007
›
ハリー・ポッター・シリーズの最終巻です。面白かった。 実は他の書評をまだ読んでません。7月下旬のエジプトへの出国日がちょうど刊行日で、成田空港で2冊を買ったものの、帰国後にようやく読了。 J. K. ローリング作、松岡祐子訳 「ハリー・ポッターと死の秘宝」、上下巻 (静山社、20...
‹
›
ホーム
ウェブ バージョンを表示