西本真一 エジ本
時として書誌の欧文特殊記号などを無視します
2009年3月31日火曜日
Weatherhead and Kemp 2007
›
アマルナの彩色された祠堂を扱う書。煉瓦造の建築復原をおこなう考察の中で、これほど詳しく記述したものを見たことがありません。非常な労作ですが、しかし一方で読者層はきわめて限られるために、どうやら徹底して安く出版することを考慮したらしく推測されます。 Fran Weatherhead...
2009年3月30日月曜日
Arnold 2008
›
リシュトにある古代エジプトの中王国時代の私人墓に関する建築報告書。すでにメトロポリタン美術館が1900年代の初期に発掘調査をおこなったものの、報告書がずっと未刊行のままでした。 追加の調査をおこない、当時の記録をもとに、厚い報告書に仕上げています。 Dieter Arnold, ...
2009年3月29日日曜日
Hillier and Hanson 1984
›
「空間の社会的な論理」といったような題の書。再版を重ね、古代建築にこの考えを援用した論考もすでに多く発表されており、非常に興味深い。 ただし、古代エジプトの例に適用しようとした試みは、私見ではあまり見当たらないようですが。 Bill Hillier and Julienne Ha...
2009年3月28日土曜日
Hahn 2001
›
「アナクシマンドロスと建築家たち」という題の風変わりな本。奇妙な本であると著者も自分で冒頭に書いていますが、これを出版したのは哲学科の准教授で、古代ギリシア哲学の専門家。 アナクシマンドロスと言えば、最初の哲学者たちのうちのひとりとして挙げられる人物で、彼が宇宙論を考え出した発想...
2009年3月27日金曜日
Kemp and Rose 1991
›
ケンブリッジ考古学雑誌( CAJ )は1991年の創刊ですから、比較的若い雑誌。年に2回の発行です。第1巻第1冊目という最初の号に、ケンプとローズが共同執筆している論文。 ケンプはこの雑誌の編集委員に名を連ねていますので、あまりレベルの低い内容のものを書けない立場です。むし...
2009年3月26日木曜日
Maragioglio e Rinaldi 1963-1975
›
2人のイタリア人によるピラミッド集大成。主なピラミッドをすべて再調査し、実測もおこなって大判の図面を作成するという画期的な出版物でしたが、惜しまれるのは全巻が刊行されていない点です。ネチェリケトの階段ピラミッドを扱う予定であった第1巻は未刊。また第8巻の存在について言及しない参考...
2009年3月25日水曜日
Waddell 2008
›
ローマのパンテオンに関する集大成。建築について調べると言うことがどういう作業を指すのか、良く分かります。30年間にもわたってこの建物を訪れ、調べ続けたらしく、情報量は圧倒的。どうやら建物中の部屋をくまなく見ているらしい雰囲気で、屋根にも登っています。 パンテオンについてこれほど詳...
2009年3月24日火曜日
Wilson Jones 2000
›
古代ローマ建築の研究における重要な基本文献。建築家であり、また建築史家である者によって書かれた論考です。これまで執筆されてきた論文の集大成。 Mark Wilson Jones, Principles of Roman Architecture (Yale University ...
2009年3月23日月曜日
Powell (ed.) 1987
›
古代中近東の世界における労働の諸相を記した本。この領域に関する文献としては、最強の部類に属するものです。20年前の本ですが、これに代わる書は未だ出ていないはず。 巻末には「重要な古代語」の索引も設けられていて有用。 Marvin A. Powell , Labor in the ...
2009年3月21日土曜日
Dumarcay 2005
›
南アジア及び東南アジアにおける建造技法を図説した本。ボロブドゥールやバイヨンの建築報告書などを執筆したことで、著者デュマルセは名高い学者です。建築の目利きとして有名。 特に南アジア建築の技法を述べた本はきわめて稀で、注目されます。 概説を広く記すことに心が砕かれたようです。 Ja...
2009年3月20日金曜日
Hoelscher 1934-1954
›
古代エジプト建築の中で最も詳しく報告がなされているのは実はピラミッドではなく、メディネット・ハブとして知られているラメセス3世の記念祭殿。ヘルシャーが20年をかけてまとめた大判のこの5冊の報告書は、もちろんヘルシャーの主著のうちのひとつ。 特に第一巻の、判型がさらに大きい図面集に...
2009年3月19日木曜日
Packer 1997
›
福岡キャンパス図書館の書架に並んでいるのを見て思い出した本。記憶に頼って書くという無謀なことをやりますが。 書誌は以下の通り。 James E. Packer, The Forum of Trajan in Rome: A Study of the Monuments , 3 V...
2009年3月14日土曜日
Rivers and Umney 2003
›
家具の修復に関する手引き書。 家具では木材の他に、皮革や布・紐・金属・貝・骨・象牙・石など、多様な材料が組み合わされる場合が少なくありません。 さらには塗装や彩画が施され、複雑さの度が格段に増します。ここに家具の特殊性があり、面白さが感じられるところです。 いくつかの家具には、動...
2009年3月13日金曜日
Rossi 2004
›
B. ケンプの指導のもとに書かれた博士論文が刊行されています。 「古代エジプトの建築と数学」というタイトルは、かなり派手に思われますけれども、これは類書がないためです。 Corinna Rossi, Architecture and Mathematics in Ancient ...
2009年3月12日木曜日
Frankfort 1933
›
亡き人を収めない空墓が「セノタフ」。 この建築遺構は異様な雰囲気を有し、中心の部屋では装飾がいっさい払拭されて、花崗岩の重厚な構成が呈する圧倒的な迫力が特徴。 類例遺構との比較考察から、古王国時代のものと比定される可能性もありましたが、石と石とを繋ぐ「かすがい」にセティ1世の王名...
2009年3月11日水曜日
Aurenche (sous la direction de) 1977
›
古代近東建築に関する図解事典で、似た題名を持つ本はあるのですけれども、多言語による対照表が付されている点は類書に見られず、特記されます。 全体はふたつに分かれ、前半は絵入りの辞書、後半はフランス語を主体とした他の言語への翻訳です。 Olivier Aurenche (sous l...
2009年3月10日火曜日
Beckerath 1999
›
古代エジプトの王たちの名をくまなく集めた本です。王の名がひとつではない点が、こうした書が執筆される理由。古代エジプトでは王名が通常は5種類もあり、その名が分かることによって遺構の時代が判定できる可能性もあるわけですから、重要となります。 複数の王名の存在に関しては、西村洋子...
2009年3月9日月曜日
Porter and Moss (PM), 8 Vols.
›
エジプト学における最重要な書のうちのひとつ。エジプトに数多く残る遺構を全部拾い上げるという基本台帳の位置を占める書籍で、 PM が略称として広く用いられています。 にも関わらず、不備が目立つ点は手の打ちようがありません。記載されている情報が50年ほど遅れており、第1巻の改訂...
2009年3月8日日曜日
Ault and Nevett (eds.) 2005
›
古代ギリシアの住居に関する論考。2001年に開催のAIAサンディエゴ大会でコロキアムが企画され、その成果が編集されたもの。古代ギリシアの住居でまとまった情報が得られているのはオリントスなどに限られ、その住居が紹介されることが一般には多いわけですが、この会合では専門家たちが集まって...
2009年3月7日土曜日
Bryan 1993
›
「あなたも女性エジプト学者になれるわ!」という本があって、自分がどのようにエジプト学者になったか、どのような勉強や訓練を経たのかを、一流の女性エジプト学者が個人的な体験をもとにやさしく書き綴っています。 Betsy M. Bryan, Y ou Can Be a Woman Eg...
2009年3月6日金曜日
Cabrol 2000
›
アメンヘテプ3世について書かれた一般向けの一冊。この王について記した本は、アメリカとフランスでおこなわれた展覧会の成功以後、ずいぶんと増えてきました。 ペーパーバックですが、カラー写真も所収しており、図も比較的豊富です。メムノンの巨像の頭部分を上空から撮影した写真があって、もとも...
2009年3月5日木曜日
Carter (and Mace) 1923-1933
›
ハワード・カーターによるツタンカーメンの墓の発掘記録で、3冊で構成されています。しかしオリジナルは稀覯本扱いとなり、揃いで買うと今なら1200ドル以上の出費を覚悟せねばなりません。 レプリントの他、抄録版も出ているので注意を要します。 Howard Carter (and A. ...
2009年3月4日水曜日
Vygus 2009
›
タダで手に入るヒエログリフの辞書が公開されており、これがけっこう面白い。602ページもあります。17,000項目以上を所収。 Mark Vygus, Ancient Egyptian Hieroglyph Dictionary 17,300 items, PDF, 6...
2009年3月3日火曜日
Badawy 1954-1968
›
古代エジプトの建築史と言えば、バダウィのこの3冊本。先王朝時代から新王国時代の終わりまでを扱っています。グレコ・ローマ時代までの建築を扱うはずであった4冊目は、とうとう出版されませんでした。代わりにD. アーノルドが Temples of the Last Pharaohs (...
2009年3月2日月曜日
Lacovara 1990
›
古代エジプトの初期新王国時代の王宮であるディール・エル=バラスの発掘調査報告書。使われた煉瓦は大ぶりで、中王国時代のピラミッドで用いられたものを思い起こさせます。 城塞のような造りで、矩形平面の周壁を巡らせ、その中央に高い基壇が築かれて、その上に建物が立っていた模様。テル・エル=...
2009年3月1日日曜日
Baldwin Smith 1938
›
建築史家には種類があって、ひとつは自分の専門領域を定め、深く掘り下げる人。他方は時代や地域を問わず、勝手気ままに横断して行く人です。 この著者は明らかに後者に属し、決して古代エジプト建築の専門家と言える人ではありません。にも関わらず、ここで取り上げる書は重要。 古代エジプト建築を...
2009年2月28日土曜日
Dodge and Ward-Perkins (eds.) 1992
›
J. B. ワード=パーキンズは古代ローマ建築の研究で知られている存在。建築作品だけではなく、それを作り上げている石材にも強い関心を抱き、大理石の研究にも着手しました。 「いにしえの大理石」といったような意味の題名を有する論考集。 Hazel Dodge and Bryan Wa...
2009年2月27日金曜日
Clarke and Engelbach 1930
›
古代エジプト建築がどのように造られたかを扱う本で、建築家たちによる専門的な考察が含まれます。このように建築構法を考えた書としては、石造に限ったものとしてD. アーノルドの新しい本が現在ではすでに出ていますが、クラークとエンゲルバッハの本の言わば改訂版に相当する一冊。 クラークとエ...
2009年2月26日木曜日
CoA I-III, 4 Vols. (1923-1951)
›
「アケナテン(アクエンアテン)の都市 City of Akhenaten」というのはアマルナのことで、ピートリが19世紀末に中枢部を発掘した後、同じイギリス隊によって私人墓の調査がなされました。次にはドイツ隊が住居地域の発掘を始めましたが、第一次世界大戦により中断。 戦争終了後、...
2009年2月25日水曜日
Klemm and Klemm 2008 (revised ed. of 1993)
›
古代エジプトの石切場を扱う唯一の本。ドイツ語で出版されたものが英訳されました。ドイツ語による初版に関し、Journal of Roman Archaeologyの書評論文(review article)で「索引がない」と注文がつけられたりしていた部分は改善されています。 Rose...
‹
›
ホーム
ウェブ バージョンを表示