西本真一 エジ本
時として書誌の欧文特殊記号などを無視します
2009年4月30日木曜日
Bietak (Hrsg.) 2001
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古代ギリシア建築と古代エジプト建築との接点を探るため、ウィーンで開催された国際コロキアムの報告書。薄手の本ながら、重要な論考が収められています。コロキアムは、シンポジウムと似たような専門家による会合ですが、より専門性が高く、通常は少人数でおこなわれます。 Manfred Biet...
2009年4月29日水曜日
Romer 2007
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クフ王のピラミッドに関し、最新の情報を盛り込んだ分厚い書。一般向けに何冊も出しているローマーだけあって、読みやすさが工夫されています。 51の断章から構成され、それらの全体を7つの章に分けていますが、こういう書き方は珍しいと言っていい。ひとつひとつの断章は短い記述からなっており、...
2009年4月28日火曜日
Ulrich 2007
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古代ローマ時代の木工を集成し、考察を加えた本。ポンペイとヘラクレネウム、オスティアは住居遺構が残っていることで有名ですが、そこでうかがわれる木材の用法についての調査結果を踏まえています。 Roger B. Ulrich , Roman Woodworking (Yale Univ...
2009年4月27日月曜日
JEA 4, Parts II-III (1917)
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EESがEEFと名乗っていた時代の、イギリスから出ているエジプト学の専門雑誌。刊行されて間もない時期の号で、考えてみればこの頃、ヨーロッパは第一次世界大戦の真っ直中です。こういう時期に、雑誌を刊行する余力を持っていることに驚きます。 この号だけを単独で購入したのは面白い内容に惹か...
2009年4月26日日曜日
Arnold 1990
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エジプトのピラミッドや神殿を建てるのに使われた石には時折、日付や人名がインクで記されていることがあり、これらを研究対象としてモノグラフが構成されるまでになったのはごく最近のことです。たいていこうした文字はひどく荒く書かれており、あまり字を書き慣れていない者が記録を残したのではない...
2009年4月25日土曜日
Ginouves (et Martin) 1985-1998
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古代ギリシア・ローマ建築に関する大系的な事典で、3巻本です。13年をかけて完結しました。フランス・アテネ学院とフランス・ローマ学院との共同作業で、さらにはそこにCNRS(フランス国立科学研究センター)も加わっていますから、フランスの研究者たちの知恵の結集と考えても良いかもしれませ...
2009年4月24日金曜日
Petrie 1897
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ピートリによるルクソール地域における調査報告。「テーベの6つの神殿」と題名をさらっと書いていますが、現在ではこのような大胆な調査は絶対にできません。ナイル川沿いに並ぶ王の記念神殿を、次から次へと渡り歩いています。 見るだけであったら、もちろん可能。しかし発掘をやってるわけで、こう...
2009年4月23日木曜日
Isler 2001
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アメリカに住む著者は1926年生まれで、30年以上、ピラミッドを含む古代エジプトの建造技術に関する研究を独自に進めてきました。その研究の集大成というべき本。彼が75歳の時の本となります。 Martin Isler , foreword by Dieter Arnold , Sti...
2009年4月22日水曜日
Newton 1737
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科学者のアイザック・ニュートンが古代エジプトのキュービットの長さを突き止めていたということが広く知られるようになったのは、 Michael St. John が編集し、 J. Degreef がドイツ語から訳したレプシウスの本が2000年に新しく出てからです( Lepsius...
2009年4月21日火曜日
Greaves 1646
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ギザのピラミッドに関する実測の結果を詳しく伝えたものとしては最古の部類に属する書。この有名な本はマーク・レーナーの「ピラミッド大百科」でも紹介されているので、御存知の方も少なくないかと思われます。ピラミッド学では欠かせぬ基本書となります。 比較的簡単に複写を入手することができ、こ...
2009年4月9日木曜日
EA (Egyptian Archaeology) 34 (Spring 2009)
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数週間前に届いたEESのEA 34号です。たった40ページほどの冊子ですが、いつもの通り、図版が豊富で楽しめます。 Egyptian Archaeology: The Bulletin of the Egypt Exploration Society (EES), No. 34...
Goddio (ed.) 2008 (2nd ed.)
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今年の6月から横浜で開催予定(朝日新聞社主催)の、「海のエジプト展」のもととなる展覧会の英語カタログです。すでにヨーロッパを巡回している展覧会のために作成されたもので、日本での開催にあわせ、いずれ和訳されたカタログがこれから出版されるかと思われます。 原本を見ておくことは重要。 ...
2009年4月7日火曜日
Vandier 1952-1978
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たったひとりの学者によってエジプト学の要覧が作られた例。J. ヴァンディエは20年以上をかけて、古代エジプトの建築・彫刻・浮彫・絵画を網羅しようとしています。 空前絶後とはこのことを言います。これから先、こういう意欲的で無謀な学者が出るかというと、まずは絶望的です。 とうの昔に情...
2009年4月6日月曜日
Kent (ed.) 1990
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スイスからペルーまで、時代も地域も異なる遺構に関する新たな論考。建築学とも深く関連しており、大学教科書として、あるいは副読本として読まれることが目されています。 "Domestic Architecture"を扱うのであって、"Monumental ...
2009年4月5日日曜日
Szpakowska 2003
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サイバー大学の和田浩一郎先生からお教えいただいた本。古代エジプトにおける夢を扱った書で、この題材をテーマとした本は珍しい。夢に関する同様の話題は、2009年1月1日の http://ejibon.blogspot.com/2009/01/gardiner-1935.html でも...
2009年4月4日土曜日
Svarth 1998
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デンマークで刊行された古代エジプトの家具の本。縮尺1/5で作られた模型を使って家具が紹介されています。図面が秀逸。またカラー写真も素晴らしい。 デンマーク語と英語が併記される形式です。 Dan Svarth, Egyptisk mobelkunst fra faraotiden ...
2009年4月3日金曜日
Baldwin Smith 1950
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ドームに関する研究書ですが、常識を当てにすると裏切られます。世界に名だたるドーム建築はほとんど登場せず、ハギア・ソフィアはちらっと出てくるだけで、図版では1枚だけという扱い。ローマのパンテオンは2箇所で言及されますけれども、図版はありません。フィレンツェの大聖堂に至っては、ま...
2009年4月2日木曜日
Berman (ed.) 1990
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クリーヴランド美術館は75周年記念に当たる1991年のために「アメンヘテプ3世展」を企画しました。この展覧会はアメリカとフランスを巡回し、大成功を収めましたが、その準備のために開催された国際シンポジウムの記録。研究会といった性格を持ちます。 この企画の発案者はクリーヴランド美術館...
2009年4月1日水曜日
Wanscher 1980
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格式を備えた折り畳み椅子を世界中から探し出した奇書。古代家具の研究書としては H. S. Baker の本とともに必ず挙げられるといっても良い非常に有名な本で、類書がまったくありません。 「家具 オーレ・ワンシャー」のふたつの単語で検索するならば「北欧家具デザイン界の巨匠」と出て...
2009年3月31日火曜日
Weatherhead and Kemp 2007
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アマルナの彩色された祠堂を扱う書。煉瓦造の建築復原をおこなう考察の中で、これほど詳しく記述したものを見たことがありません。非常な労作ですが、しかし一方で読者層はきわめて限られるために、どうやら徹底して安く出版することを考慮したらしく推測されます。 Fran Weatherhead...
2009年3月30日月曜日
Arnold 2008
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リシュトにある古代エジプトの中王国時代の私人墓に関する建築報告書。すでにメトロポリタン美術館が1900年代の初期に発掘調査をおこなったものの、報告書がずっと未刊行のままでした。 追加の調査をおこない、当時の記録をもとに、厚い報告書に仕上げています。 Dieter Arnold, ...
2009年3月29日日曜日
Hillier and Hanson 1984
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「空間の社会的な論理」といったような題の書。再版を重ね、古代建築にこの考えを援用した論考もすでに多く発表されており、非常に興味深い。 ただし、古代エジプトの例に適用しようとした試みは、私見ではあまり見当たらないようですが。 Bill Hillier and Julienne Ha...
2009年3月28日土曜日
Hahn 2001
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「アナクシマンドロスと建築家たち」という題の風変わりな本。奇妙な本であると著者も自分で冒頭に書いていますが、これを出版したのは哲学科の准教授で、古代ギリシア哲学の専門家。 アナクシマンドロスと言えば、最初の哲学者たちのうちのひとりとして挙げられる人物で、彼が宇宙論を考え出した発想...
2009年3月27日金曜日
Kemp and Rose 1991
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ケンブリッジ考古学雑誌( CAJ )は1991年の創刊ですから、比較的若い雑誌。年に2回の発行です。第1巻第1冊目という最初の号に、ケンプとローズが共同執筆している論文。 ケンプはこの雑誌の編集委員に名を連ねていますので、あまりレベルの低い内容のものを書けない立場です。むし...
2009年3月26日木曜日
Maragioglio e Rinaldi 1963-1975
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2人のイタリア人によるピラミッド集大成。主なピラミッドをすべて再調査し、実測もおこなって大判の図面を作成するという画期的な出版物でしたが、惜しまれるのは全巻が刊行されていない点です。ネチェリケトの階段ピラミッドを扱う予定であった第1巻は未刊。また第8巻の存在について言及しない参考...
2009年3月25日水曜日
Waddell 2008
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ローマのパンテオンに関する集大成。建築について調べると言うことがどういう作業を指すのか、良く分かります。30年間にもわたってこの建物を訪れ、調べ続けたらしく、情報量は圧倒的。どうやら建物中の部屋をくまなく見ているらしい雰囲気で、屋根にも登っています。 パンテオンについてこれほど詳...
2009年3月24日火曜日
Wilson Jones 2000
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古代ローマ建築の研究における重要な基本文献。建築家であり、また建築史家である者によって書かれた論考です。これまで執筆されてきた論文の集大成。 Mark Wilson Jones, Principles of Roman Architecture (Yale University ...
2009年3月23日月曜日
Powell (ed.) 1987
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古代中近東の世界における労働の諸相を記した本。この領域に関する文献としては、最強の部類に属するものです。20年前の本ですが、これに代わる書は未だ出ていないはず。 巻末には「重要な古代語」の索引も設けられていて有用。 Marvin A. Powell , Labor in the ...
2009年3月21日土曜日
Dumarcay 2005
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南アジア及び東南アジアにおける建造技法を図説した本。ボロブドゥールやバイヨンの建築報告書などを執筆したことで、著者デュマルセは名高い学者です。建築の目利きとして有名。 特に南アジア建築の技法を述べた本はきわめて稀で、注目されます。 概説を広く記すことに心が砕かれたようです。 Ja...
2009年3月20日金曜日
Hoelscher 1934-1954
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古代エジプト建築の中で最も詳しく報告がなされているのは実はピラミッドではなく、メディネット・ハブとして知られているラメセス3世の記念祭殿。ヘルシャーが20年をかけてまとめた大判のこの5冊の報告書は、もちろんヘルシャーの主著のうちのひとつ。 特に第一巻の、判型がさらに大きい図面集に...
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