西本真一 エジ本
時として書誌の欧文特殊記号などを無視します
2010年11月30日火曜日
Guidotti (ed.) 2002
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「フィレンツェ・エジプト博物館」という名を初めて聞く方も少なくないかもしれない。イタリアに「エジプト博物館」がトリノ以外にあるというのは、まだあんまり広く知られていないように思われます。近年、フィレンツェ考古学博物館が改組され、知る人しか知っていなかった古代エジプトの貴重な所...
Vassilika 2010
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トリノのエジプト博物館へ2年ぶりに行ってみたら、建築家カーとその奥さんのメリトの墓(TT 8)から出土した遺品の展示室が、何倍も大きい別の広間へと移動していました。この夫妻、新王国時代の第18王朝末を生きた上流階級の者たちです。たくさんの家具類が見つかったことで、古代家具史の世界...
2010年10月30日土曜日
Kákosy et al. 2004
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ハンガリー隊による、テーベの私人墓ジェフティメス(TT 32:ラメセス2世時代)に関する2巻本の報告書。 ハンガリーによる古代エジプト調査の歴史は100年を超えており、その過程はたとえば、 Vörös 2007 が個人史と重ねあわせながら示しています。 Studia Aegypt...
2010年10月28日木曜日
Menu (ed.) 2010
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古代エジプトやメソポタミアにおける労働組織を問う国際会議の会議録です。 建造組織、あるいは労働組織を広く追究する分野にとっては、非常に重要な論集であるとみなされる Powell (ed.) 1987 の刊行以降に著された注目すべき出版物で、2004年の会議開催から6年経って、よう...
2010年10月27日水曜日
Mace and Winlock 1916
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メトロポリタン美術館による、エジプト発掘調査報告書シリーズの記念すべき第1巻。リシュトで発見されたセネブティシの墓(中王国時代)に関する報告で、出土した宝飾品の解説も丁寧ですけれども、いったん蓋を閉じたら二度と開かなくなる工夫が施された人型木棺などの図解が注目されます。 ...
2010年10月26日火曜日
Hawass and Wegner (eds.) 2010 [Fs. David P. Silverman]
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今夏の2010年7月中旬、ザマレックのSCAを訪れた時に出版関連の仕事に携わる方から見せてもらい、すぐに注文した本。シルバーマンへの、2巻本の献呈論文集です。 American University in Cairo Pressのサイトにて注文したけれど、そこでは ASAE C...
2010年9月13日月曜日
Shaw 1973
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エジプト学において Shaw というと、イギリスの研究者であるイアン・ショーのことを誰しもが連想するかと思いますが、クノッソスやマリア、ファイストス、あるいはザクロスといった宮殿に代表される、クレタ島を中心として展開されたミノア文明に関わる研究者たちにとっては、まずジョセフ・ショ...
2010年9月12日日曜日
Corinth XX (Williams II and Bookidis eds.) 2003
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コリントス(コリント)は古くから栄えていたポリスのひとつで、古代ローマ時代の建物が多く残っているものの、その下を掘れば古代ギリシアの遺構に突き当たります。古代ギリシアにおいて最重要と考えられる都市遺跡のうちのひとつ。 アメリカ隊は19世紀の終わりからこの地を調査し始め、何冊もの報...
2010年9月11日土曜日
Peschlow-Bindokat 1990
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太宰治の名作「走れメロス」では親友の石工セリヌンティウスという者が登場し、最後にはメロスと音を立ててお互いに殴り合います。互いをどこまで深く信じていたのかについて決着をつける行為。 セリヌンティウスと呼ばれるこの男、 「今は此のシラクスの市で、石工をしている」 と小...
2010年9月8日水曜日
Malacrino 2010 (English ed.)
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ほとんど全ページにカラー図版が用いられており、大変見やすく、限られた分量の中で古代ギリシアと古代ローマにおける建造技術をうまく纏めています。石造建築に限らず、土を用いた構法についても触れている点は重要。土木に関連した遺構についても、いくらかページを割いています。 西洋の古典古代建...
2010年7月13日火曜日
Panagiotaki 1999
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ほぼ100年前にエヴァンスによってなされたクノッソス宮殿の発掘調査を、つぶさに眺めようという試みです。宮殿と言っても、王の居室部分が実際に見つかっているわけでもなく、神殿などの宗教建築とは趣が異なる複合建物をこう呼んでいるだけ。 古代世界の"palace"と言...
2010年7月11日日曜日
Koltsida 2007
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古代エジプトの住居に関する「渡辺篤史の建もの探訪」をやっている感じの研究書。 BAR シリーズの一冊です。 British Archaeological Reports ( BAR )には赤い表紙のInternational Seriesと青い表紙のBritish Seriesと...
2010年7月10日土曜日
Roehrig et al. (eds.) 2005
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エジプトの最も華やかな時代において強大な権力を握った女王のひとり、ハトシェプストに関する展覧会のカタログです。 展覧会はサンフランシスコ美術館、ニューヨーク・メトロポリタン美術館(以下、 MMA )、フォートワース・キンベル美術館の3箇所にて開催されました。いずれもアメリカ...
2010年7月9日金曜日
Davies (ed.) 1991
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大英博物館にエジプトとアフリカを紹介する新たなギャラリーができたことを記念して企画された本で、有名な研究者たちによる論考が30編、集められています。こういうことが実現できる点は、さすが大英博物館の力量。 註の振り方には2種類がうかがわれ、無理して全体の体裁を整えようとしていません...
2010年7月6日火曜日
泉井 1978
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「数」という存在に言語学から触れた書。この書籍をどういう経緯で入手したのか、もう忘れてしまいましたが、今でも時折読み返すことのある印象深い好著です。 日本語では単数と複数との区別があんまりはっきりとはしていません。でも、これを厳密におこなう言葉は多くあります。この傾向は、特に古代...
2010年7月4日日曜日
Herz and Waelkens (eds.) 1988
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古代における大理石の用法を扱った国際学術会議の報告書。古代ローマの石切場、また石の輸出入に関する研究はワード・パーキンスによって本格的に開始されましたが、その遺志を継承しての国際会議。ワード・パーキンスについては、 Dodge and Ward-Perkins (eds.) 19...
Kemp and O'Connor 1974
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水中考古学の専門誌に掲載された、アメンヘテプ3世のマルカタ王宮調査に関する重要な調査報告。マルカタ王宮に関する報告の数は、それほど多くはありません。アクエンアテン(アケナテン)によるアマルナ王宮とは大きく異なる点となります。 アマルナ王宮調査は最初にピートリが手がけ、その後にドイ...
2010年7月2日金曜日
Hawass and Richards (eds.) 2007 (Fs. David B. O'Connor)
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D. B. オコーナーへの献呈論文集。オコーナーについてはアビュドスの重厚な本について触れました( O'Connor 2009 )。ザヒ・ハワース・他が編集し、またSCAから出版された2巻本です。このふたりは共にアメリカのエジプト学者、オコーナーの教え子。 Zahi A....
2010年6月27日日曜日
Bleiberg and Freed (eds.) 1991
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ラメセス2世に関する国際シンポジウムの記録。本の題名は、イギリスの代表的な詩人シェリーの、非常に有名な詩の一節から採られています。 E dward Bleiberg and Rita Freed eds., Fragments of a Shattered Visage: T...
2 件のコメント:
2010年6月26日土曜日
Hinz 1955
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イスラームでも時代や地域によって度量衡が変わり、特に長さについて調べることは建築の世界では重要な作業となります。しかし、これが案外と見つけ出しにくくて大変。 それらの情報をひとつにまとめた薄い冊子です。 Walther Hinz , Islamische Masse ...
2010年6月25日金曜日
Jomard 1809
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「エジプト誌」の全巻が、今ではネットで見られることについて、すでに Description 1809-1818 にて述べました。ナポレオンによる「エジプト誌」にはテキスト編も含まれており、ジョマールはここに論考を複数、載せています。 欧州に留学中の安岡義文氏による情報。彼...
2010年6月16日水曜日
Wright 1962
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「訳者あとがき」に記されているように、ベッドはもともと日本にはなかった代物ですので、"lit clos"(造り付けの箱型ベッド)だと言われても、すぐに具体的なかたちを思い起こせる人は少ないかと思われます。例えばディール・アル=マディーナ(デル・エル=メディ...
2010年6月15日火曜日
Sorek 2010
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古代エジプトのオベリスクに関してはすでに、たくさんの本が出版されています。この欄で触れたものだけでも9冊。 しかしこの他にも多くの論考があって、ピラミッドについての書籍と比べれば数は少ないものの、特に20世紀の後半からは良書が増えています。 「エジプト誌」にもオベリスクの設計基準...
2010年6月14日月曜日
Barnes 2004
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イギリスにあるオベリスクを集めた本。オベリスクがローマに立っていることに影響を受け、イギリスでは16世紀からエジプトのオベリスクを模して立てるようになります。エドウィン・ラッチェンスやジョン・ソーンなど、有名な建築家たちの名も挙げられており、彼らが建築や庭園へオベリスクを積極的に...
2010年6月12日土曜日
Haring and Kaper (eds.) 2009 / Andrássy, Budka and Kammerzell (eds.) 2009
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記号によって情報を交換する古代からのシステムを考えようという本が二冊、続けて出されました。双方とも国際会議の記録。ふたつには関連があって、同じ人たちが双方に関わっていたりします。 二冊目の序文には、 "The congress was connected both co...
2010年6月10日木曜日
Ikram and Dodson (eds.) 2009 (Fs. Barry J. Kemp)
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バリー・ケンプへ捧げられた献呈論文集。40人以上の研究者たちが論考を寄せています。 「地平線の彼方」というタイトルは、ノーベル文学賞を受賞した米国の劇作家ユージン・オニールの名作で知られていますが、ホメロスの「オデュッセイア」でも、冥界のある場所は「地平線(水平線)の彼方」と表現...
2010年6月9日水曜日
Tietze (Hrsg.) 2008
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題名はずばり、「アマルナ」という本。アクエンアテンとアマルナに関する展覧会がケルンで開催され、そのカタログが出ています。 300点以上の図版を収め、そのほとんどがカラー図版で分かりやすい。 Christian Tietze (Herausgegeben von), mit Be...
2010年6月8日火曜日
Wilkinson 1835
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エジプト学でウィルキンソンと言えば、19世紀の大旅行家であったと同時に記録魔でもあったこのウィルキンソン卿がまず挙げられるべきですが、もうほとんど引用されなくなってきたおかげで、日本では忘れ去られているようにも見受けられます。 しかしイギリスではエジプト学のパイオニアに該当し、1...
2010年1月23日土曜日
Wilkinson (ed.) 2008
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アリゾナ大学の教授R. H. ウィルキンソンが編集した本で、この人の執筆による書籍は何冊か、和訳が出版されています。ウィルキンソンについては以前、 JAEI 1:1 (January 2009) でも触れました。 本書の紹介は、すでに永井正勝先生がなされています。 http://...
2010年1月20日水曜日
Wilkinson 1983
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メトロポリタン美術館のエジプト部門には模写を集めた部屋があって、天井の高い広間の壁面にぎっしりと壁画の写しが展示されています。 「ファクシミリ」は模写のこと。絵の具を使い、壁画を実物通りに描くことを意味します。透明フイルムを壁画の上にかけて、油性マジックで輪郭をなぞる作業は「トレ...
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