西本真一 エジ本
時として書誌の欧文特殊記号などを無視します
2009年11月16日月曜日
ボルヘス 1975 (Japanese ed. 1980)
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『本の形式を問いかける本』ということであれば、ボルヘスの短編「バベルの図書館」に出てくる無限の本棚がまず思い起こされますけれども、この短編集のタイトルにもなっている「砂の本」もまたその変奏。 常軌を逸した本をついに手に入れるものの、後にはそれを図書館へ「捨てに行く」奇妙な話...
エコ 1977 (Japanese ed. 1991)
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「フーコーの振り子」、また映画化された「薔薇の名前」など、広く読まれた小説の作者でもあるこのイタリアの記号論の学徒は、「論文の書き方」という本も出版しています。いかにもウンベルト・エコ(ウンベルト・エーコ)によって記されたらしい書物で、入門書であると同時に、面白い読み物としても成...
Hitchcock 2000
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ミノア建築について論考を重ねているL. A. ヒッチコックの博士論文。副題に出てくる「コンテキスト」というのは美術を解説する時の用語で、20世紀後半から使われるようになりました。 建築の場合には「文脈主義」というように無理して訳され、具体的な敷地の状態から要請されるさまざまな意匠...
Meskell 2002
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古代エジプト人の生活を追った本というのは、もう何冊もあるけれども、エジプト学におけるイギリスの重鎮、J. ベインズのもとに居ただけのことはあって、文字資料としてはっきり残されていない生活の像、それをどのように把握するのかということ自体が大きなテーマのひとつとなっています。こう...
Ä&L (Ägypten und Levante) 17 (2007)
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Ä&L はオーストリアのM. ビータックが編集をしている雑誌で、彼が発掘調査を続けている下エジプトのテル・エル=ダバァと密接な関連がうかがえます。18本の論考のうち、半分ぐらいがダバァ関連。2007年度の発掘調査の仮報告も、もちろん載っています。 Ägypten und ...
2009年11月14日土曜日
Fitchen 1961
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ゴシックの大聖堂がどのように建造されたかを、豊富に図版を交え、説明している本。非常に有名な本で、しばしば教科書などでも取り上げられています。 John Fitchen , The Construction of Gothic Cathedrals: A Study of...
Hope 1978
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マルカタ王宮の再発掘を試みたイギリスのB. J. ケンプとアメリカのD. オコーナーによる、1970年代初期における共同発掘の調査報告書のうちの一冊。 前にも触れたように、アマルナ王宮とマルカタ王宮はほとんど同じ時期に発見されましたが、以後の経緯は大きく異なります。アマルナ王宮で...
2009年10月19日月曜日
Zenihiro 2009
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日本人の若手研究者が、修士論文を英語で出版した本。 柔らかい藁色のペーパーバックで、表紙では著者名が省かれており、それは序文にも記されていないから、この本を誰が執筆したのかは最後の奥付を見るまではっきりと分かりません。欧米の本と日本の書籍とでは、書誌の印刷されるページが異なるので...
2009年10月18日日曜日
Engelbach 1923
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アスワーンの未完成のオベリスクに関する報告書を纏めた後、エンゲルバッハは今度は翌年に一般向けの本をニューヨークで出版しています。印刷はしかし、イギリスでなされた模様。 がらりと体裁を変えており、また細かいところでは2冊の本に矛盾する部分もあって、そこが見どころです。 R. Eng...
2009年10月17日土曜日
Engelbach 1922
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薄い大判の本ですが、オベリスク研究に際しては絶対に欠かすことができない書。1922年はトゥトアンクアメンの墓が見つかった年でもあります。著者のエンゲルバッハは建築家であり、考古学者でもあった人。 R. Engelbach , The Aswan Obelisk: With Som...
2009年10月16日金曜日
Nishi and Hozumi 1985
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日本の伝統建築を英語で紹介している絵本。日本建築について書いている英語の本は案外と少なくて、探すのに苦労します。 西和夫は建築史家。穂積和夫はイラストレーター。ともに知られたベテラン。 Kazuo Nishi and Kazuo Hozumi , Translated, ada...
2009年10月15日木曜日
太田・飯田・鈴木 1966
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住宅とは何か、改めて考えると迷宮へと踏み込むことになります。この種のことは、事典で引いて確かめるのが一番。ちょっと古い百科事典を繙くならば、 太田博太郎・飯田喜四郎・鈴木成文 、 「住宅」、 『世界大百科事典』第11巻 (平凡社、1966年) pp. 28-40. が以下の文を記...
2009年10月14日水曜日
Cadogan, Hatzaki and Vasilakis (eds.) 2004
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2000年に開催されたクノッソス宮殿に関する国際会議の報告書。この年はアーサー・エヴァンスがクノッソスの発掘調査を開始した1900年のちょうど100年後に当たり、記念行事として英語とギリシア語の2ヶ国語を使用言語に定め、開かれました。 刊行までに4年かかっていますが、編者たちにと...
2009年10月13日火曜日
Stocks 2003
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この著者がカイロのファラオニック・ヴィレッジの技術コンサルタントをやっているなんて、初めて知りました。適任かと思われます。 古代エジプトの石材加工について述べている本で、類書と大きく異なっているのは、著者が自分で工具を作り、実際に試して造ってみていることで、この姿勢が徹底していま...
2009年10月12日月曜日
Kerisel 1987
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もう最近亡くなってしまいましたが、非常に見識の広かった土木工学者による書。「基礎の過去と現在:建造者による見えない技芸」というその題名が、著者の意図を良くあらわしています。地域・時代を問わず、人間が造った建造物と、それを支えた地盤の研究に一生を捧げた人物です。 Crozat 19...
2009年10月9日金曜日
Iversen 1968-1972
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オベリスクがヨーロッパに多数渡った顛末を述べた2巻本。 縦長の変型版が採用されており、強い印象を与える刊行物です。1巻目と2巻目との間に4年間の開きがありますが、どうやらイスタンブールのオベリスクを調べていくうちに記述が増えて、当初の出版予定に大きな変更が強いられたらしい。第2巻...
2009年10月8日木曜日
Stadelmann 1991 (2., überarb. und erw. Aufl.)
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ピラミッドの通史についてエジプト学者が本腰を入れて書いた専門的な刊行物。現在、関連する研究論文においては、もっとも引用される回数が多い本かと思われます。 初版は1985年で、第2版が出回っています。 Rainer Stadelmann , Die ägyptischen Pyra...
2009年10月7日水曜日
Lawrence 1983 (5th ed.)
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古代ギリシア建築に関する解説書で、良く取り上げられる本。現在流通しているのは第5版で、1957年の初版から、細かくほぼ5年おきに改訂がなされ、1973年の第4版が出た10年後、さらに改訂が重ねられました。ペリカン・ヒストリー・オブ・アートのシリーズの一冊。 Arnold Walt...
2009年10月6日火曜日
Ucko, Tringham and Dimbleby (eds.) 1972
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非常に広範囲にわたった、集落や都市に関する国際的学会の会議録。全部で1000ページを超えます。錚々たる顔ぶれが揃い、発表がおこなわれています。会議が開催されたのは1970年12月。 時代も地域も異なる集落、また都市というものを、今一度見直そうという試み。これだけ大規模な催し...
2009年10月5日月曜日
Hayes 1937
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断片的に出土した彩色陶板を報告し、復原考察をおこなったもの。ラメセス2世の宮殿があった場所から見つかった絵付きの飾り板を、そのモティーフや形状によってタイプ別に分け、次いでどこで使われていたかを探っています。 きわめて少ない情報から建築を想像して組み立てていくパズルをやっており、...
Smith 1998 (3rd ed.)
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50年以上も前の出版ながら、古代エジプトの美術と建築を語る上では今なお基本の書籍。W. K. シンプソンによって改訂がなされました。 最新の版ではカラー写真も掲載されると同時に判型もA4版へと大きく変更され、見やすくなっています。ペーパーバックが出ていますので、美術と建築の双方を...
2009年10月3日土曜日
Arnold 2003
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古代エジプト建築事典。もともとはドイツ語で出されたものですが、改訂され、また編集者も加わりましたので、別の本として扱った方が良いように思われます。 Dieter Arnold , translated by Sabine H. Gardiner and Helen Strudw...
2009年10月2日金曜日
Crouch and Johnson 2001
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世界の建築史を学ぼうとする大学の新入生を対象にした本で、副題で良くあらわされている通り、非欧米圏の建築に光が当てられています。アメリカの研究者たちが、それまで情報の欠けていた地域を積極的に取り上げ、また既成の建築史観をも乗り越えようとした企画。 Dora P. Crouch a...
2009年9月30日水曜日
Fleming, Honour, and Pevsner 1998 (5th ed.)
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建築の事典と言えばいくつかがあって、すでに数冊についてはこの欄にて触れましたが、個人が自分の責任で編纂したものは、やはり面白い。 N. ペヴスナーは近代建築に関する目覚ましい著作を刊行した他、英国の歴史的建造物に関する基本台帳46冊( Buildings of England ,...
2009年9月29日火曜日
Vassilika 2009
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閉幕間際の上野のトリノ博物館展に再び行って、今年出版された英語版のガイドブックを購入。薄手の本ですが、良く見たらいろいろと載っています。 近年、館長に就任したE. ヴァシリカによる、トリノ博物館の活性化の一環による刊行物と思われます。 Eleni Vassilika , phot...
2009年9月26日土曜日
Greenlaw 1976 (reprint 1995)
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紅海に面したスーダンの交易港スアキン(サワーキン)における、珊瑚ブロック造のイスラーム建築を扱った報告書。KPI社から出版される20年ほど前の1976年に、私家本という形式ですでに発表されていたとの注記が見られます。長い年月をかけて粘り強く建築調査が進められた成果の結実。 ...
2009年9月25日金曜日
Siliotti 2000
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エジプトのシナイについての、縦長の薄いガイドブック。たった48ページしかないのですが、かなり意欲的にさまざまな内容を盛り込んでおり、これまでたくさんの入門書を手がけてきたA. シリオッティの力量のほどが良く了解される構成となっています。 全ページがカラー。 30エジプトポンドです...
2009年9月24日木曜日
Warner 2005
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カイロの古い街並みで見られるイスラームの歴史的建造物の平面を逐一、大きな地図上に示した労作です。副題では"A Map"となっているけれども、掲載されているのは大版の折り込み地図が31枚。分割されて所収がおこなわれています。 ゲジラ島とローダ島の東方に位置するナ...
2009年9月23日水曜日
Le Quesne 2007
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エジプトの港市クセイルの城塞に関して述べた本。イスラーム時代に属するエジプトの、紅海沿岸の遺跡を詳しく扱った本として注目されます。 16世紀のオスマン朝に建造された砦ですが、何故、紅海沿岸にこのようなものが建てられたかと言えば、海を渡っての交易の拠点となっていたからです。...
2009年9月21日月曜日
Trigger 1993
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エジプトやメソポタミアの他、マヤやインカ、アステカなども含めた7つの初期文明を比較考察した本があります。高名な人類学者ブルース・トリッガーによる著作。幸いなことに、和訳も出ています。 Bruce G. Trigger , Early Civilizations: Ancient ...
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