2010年6月14日月曜日

Barnes 2004


イギリスにあるオベリスクを集めた本。オベリスクがローマに立っていることに影響を受け、イギリスでは16世紀からエジプトのオベリスクを模して立てるようになります。エドウィン・ラッチェンスやジョン・ソーンなど、有名な建築家たちの名も挙げられており、彼らが建築や庭園へオベリスクを積極的に用いる様子が綴られています。

Richard Barnes,
The Obelisk:
A Monumental Feature in Britain

(Frontier Publishing, Kirstead, 2004)
192 p.

巻末に収められたオベリスクの数はおよそ1300で、これでも一部だけが集められた結果の数。その多くは20世紀の戦没者記念のために立てられたものです。他に2000ほど、墓地に立つものが存在する模様。

Contents:
I The Sixteenth & Seventeenth Centuries
II The Eighteenth Century
III Nineteenth Century
IV John Bell's Lecture: The Definite Proportions of the Obelisk and Entasis, or the Compensatory Curve
V Obelisks in Cemeteries and the Rise of Polished Granite
VI The Twentieth Century
VII The Purpose of Obelisks: Theories

第4章で紹介がなされている、19世紀を生きた彫刻家のJ. ベルによるオベリスクの分析が見どころとなります。特に94ページ以降の記述は重要で、検討の余地がある。オベリスクの各部と全体との関連を構造的に探っているからで、これがどこまで合っており、どこが間違っているかが突き止められれば、オベリスクの計画方法は解けることになります。

「第一にピラミディオン底面の対角線、第二にオベリスクの底辺、そして第三にはピラミディオンの高さはすべて同一の長さである」(p. 94)

「オベリスクの底面の対角線の7倍が、正確にオベリスクの全高となる」(p. 95)

ピラミディオンの底面の対角線、あるいはオベリスクの底面の対角線が基準になったとはとうてい思われないのですが、計算をしてみると、例えば「底辺の10倍がオベリスクの全高に相当する」という言い方とほとんど矛盾がないことに気づきます。

1.414×7=9.898

であるからです。
この点は重要で、見逃せません。課題は、彫刻家と建築家のものの見方の違いがどこにあるかということになるかと思われます。

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