2012年3月30日金曜日

VA (Varia Aegyptiaca) 1985-


Varia Aegyptiaca (VA)は高さ20cmほどの、灰色の表紙を装丁とした魅力的な小冊子。基本的に年3回発行。たぶんエジプト学に関わる専門の定期刊行物の中で、もっとも書誌が良く分からなくなっているもののうちのひとつかと感じられます。
かなり昔のこととなりますけれども、Porter and Moss (PM)の編集をしているJ. Malekがエジプト学者たちのメーリングリストEEFEgyptologists' Electronic Forum)にて、「VAの最新号が何号まで出ているか知りませんか」といった内容を尋ねているのを見て、ああ最も知悉しているはずのこの人でも、やっぱり分からないんだと改めて思ったことがありました。

追跡がさらに難しかった、少数の内輪向けに回覧されたNew Kingdom Memphis Newsletter (1988-1995)などの冊子もありましたが、これらの号は今ではもう、Jacobus van DijkによってPDFで広く配信されています(http://www.jacobusvandijk.nl/NKMN.html)。
この種のものとはわけが違って、VAはれっきとした年3回の定期刊行物。にも関わらず、創刊の時から第1号と第2号との合併号ということになっているのが、どうにも不思議。
編集者はエジプト学者のCharles Cornell Van Siclen IIIで、Van Siclen Booksという出版局をSan Antonioに構え、そこから刊行されています。

Varia Aegyptiaca (ISSN 0887-9026):

Vol. 1, Nos. 1-2 (August 1985)
Vol. 1, No. 3 (December 1985)
Vol. 2, No. 1 (April 1986)
Vol. 2, No. 2 (August 1986)
Vol. 2, No. 3 (December 1986)
Vol. 3, No. 1 (April 1987)
Vol. 3, No. 2 (August 1987)
Vol. 3, No. 3 (December 1987)
Vol. 4, No. 1 (April 1988)
Vol. 4, No. 2 (August 1988)
Vol. 4, No. 3 (December 1988)
Vol. 5, No. 1 (March 1989)
Vol. 5, Nos. 2-3 (June-September 1989)
Vol. 5, No. 4 (December 1989)
Vol. 6, Nos. 1-2 (April-August 1990)
Vol. 6, No. 3 (December 1990)
Vol. 7, No. 1 (April 1991)
Vol. 7, Nos. 2-3 (August-December 1991)
Vol. 8, No. 1 (April 1992)
Vol. 8, No. 2 (August 1992)
Vol. 8, No. 3 [not yet published?]
Vol. 9, Nos. 1-2 (1993)
Vol. 9, No. 3 [not yet published?]
Vol. 10, No. 1 [not yet published?]
Vol. 10, Nos. 2-3 (August-December 1995 [1997])
Iubilate Conlegae: Studies in Memory of Abdel Aziz Sadek, Part I
Vol. 11, No. 1 (April 1996 [1998])
Iubilate Conlegae: Studies in Memory of Abdel Aziz Sadek, Part II

第5巻では第4号が出ています。え、年3回発行のはずなのに。
エジプト学に関するすべての文献の収集をめざしているはずのOnline Egyptological Bibliography (OEB)を検索しても、果たして第8巻第3号や第9巻第3号などが出ているのかどうか、今なお不明なままです。しかしこういう点こそが面白いわけで、ヴァン・シクレンが既成の由緒ある諸雑誌とは別に、もう少し小回りの利いた定期刊行物を独自に出そうとした大きな志が重要。それとともに、編集作業の先を見て号数を飛ばしたものの、結局は出版が遅れている号があるという変則的な雑誌刊行の捻れが興味深い。
個人的には、エジプト学の興隆を強く願っているところをまず見るべきだと思います。

本来は1995年に出されるべきものが1997年に刊行された、第10巻第2-3合併号所収のPeter Der Manuelianの論文などについてはPDFが出回っていますが、そこではこの時点で"8/3 and 9/3 are not yet available"と印刷された出版社による巻末の告知のページまでもが含まれていて、当該雑誌の書誌に関する貴重な情報が得られます。
VAに関する分かりやすい一覧はネットでうかがわれないようでしたので、急遽作成してみました。ここで欠号として挙げているものについて、海外の研究機関にて実見された方より、訂正事項を詳しく御教示いただけましたら有り難い。

Z. Hawassによるギザのピラミディオンの報告を調べていく過程で偶然、VAの欠号に気づいたのですけれども、こうした空隙が何を意味するのか、改めて考えたくなります。
学者によってすでに言及されている点を追うことはこの時代、ネットが急速に展開して以来は容易くなっているのですが、「彼らによって書かれていないこと」は、ではいったいどう見つけ出すのか。古くて新しい問題。もちろん研究というのは「誰もやってないことを見つけること」なのでしょうけれども、思わぬ陥穽があるようで。

VAは10年以上にわたって続けられた雑誌で、できれば十全な刊行を応援したいところ。
なお、別巻も刊行されています。

Supplement 1
Thierry Zimmer, Les grottes des crocodiles de Maabdah (Samoun): Un cas extrême d'analyse archéologique
(San Antonio, Van Siclen Books, 1987).

Supplement 2
Hans Goedicke, Studies in "The Instructions of King Amenemhet I for his Son", text and plates, 2 vols.
(San Antonio, Van Siclen Books, 1988).

Supplement 3
Sheldon Lee Gosline, Bahariya Oasis Expedition, Season Report for 1988, Part I. Survey of Qarat Hilwah.
(San Antonio, Van Siclen Books, 1990).

Supplement 4
Adel Farid, Die demotischen Inschriften der Strategen, 2 vols.
(San Antonio, Van Siclen Books, 1993).

Supplement 5
Hans Goedicke, Comments on the "Famine Stela".
(San Antonio, Van Siclen Books, 1994).

Supplement 6
Anthony J. Spalinger, Revolutions in time: Studies in Ancient Egyptian Calendrics.
(San Antonio, Van Siclen Books, 1994).

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