2011年9月25日日曜日

Graubner 1992 (English ed. of 1986)



もともとドイツ語で書かれた本の英訳。木工の継手・仕口に関する海外の本では、たびたび引用される書です。日本の継手・仕口が本格的に紹介されています。Zwerger (English ed.) 1997のところでも触れました。
"Joinery in Japanese Buildings"の節は大河直躬による執筆(pp. 20-3)。また写真で紹介されている継手・仕口は大工棟梁の田中文男と学生たちの制作、と書いてあります。謝辞には清家清宮崎清の名が挙げてあり、日本の専門家たちが協力していることが知られます。
Graubnerの原本では、日本とヨーロッパにおける木工の対比が副題にて明確に挙げられていましたが、英語の訳版では省かれました。
ドイツ語の原本は、順調に版を重ねている様子。当方が所有しているのは1997年の第6版。イギリスから出ています。

Wolfram Graubner,
Woodworking Joints
(B. T. Batsford, London, 1992. Original title: "Holzverbindungen: Gegenüberstellungen japanischer und europäischer Lösungen", Deutsche Verlags-Anstalt, Stuttgart, 1986, 175 p.)
(vii), 151 p.

Contents:
Introduction (p. 1)
Wood Joints vs. Metal Fasteners
Fire and Wooden Joinery
Wood Protection
The Development of Wood Construction
Traditional Roof Construction
Traditional Chinese Wood Construction
Joinery in Japanese Buildings

Joint Forms (p. 25)
1. Splicing Joints (p. 28)
2. Oblique Joints (p. 64)
3. Corner and Cross Joints (82)
4. Edge Joints (p. 124)

Appendix (p. 146)
Index (p. 150)

それほど厚い本ではありません。

なお、Encyclopedia of Wood Joints というタイトルでアメリカの他社からも出版されている模様。
図版はきわめて豊富で、それぞれの継手・仕口を英語で何と訳せばいいのか、知りたい人には非常に役立つのではないでしょうか。カラー図版は表紙だけというのが残念。近年は国内で、カラー写真と継手・仕口の立体組み立て図を同時に見せる本が増えてきたので、併読することが望まれます。
冒頭には、

"To understand the 600 or so wood joints known to us today, it is important to grasp a few basic principles."
(p. 1)

とあって、数百にのぼるほど多岐にわたると言われる継手・仕口を系統立てて纏めていることが知られ、これが大きな特徴。日本では源愛日児による試みが知られています。

内田祥哉
「在来構法の研究:木造の継手仕口について」
(住宅総合研究財団、1993年)

を参照。

文化財建造物保存技術協会
「文化財建造物伝統技法集成:継手及び仕口」(上下巻)
(1986年。再版、東洋書林、2000年)

においても継手・仕口の体系化がおこなわれており、重要です。

Graubnerの英訳本では、参考書がまったく挙げられていないのが実に惜しい点です。ドイツ語版では172ページに35冊ほどを挙げています。

これ以外にも、ドイツ語版と比べると10ページほどが割愛されている模様。主に図版が抜けており、例えばドイツ語版の42-3ページには見開きで「和漢三才図会」に掲載されている大工道具の紹介があるのですけれども、英語版にはそれがありません。
しかしAppendixのところでは、

"Classification of European Wood Joints

In Europe, joints are usually classified according to the position of the mating members:

1. Splicing joints
2. Corner joints between timbers of equal width
3. Lap joints in which the top surfaces of the crossed members are flush
4. Cogged joints, assembled on corners or as a cross, in which the top surfaces of the mating members are not flush
5. Oblique joints
6 Edge joints between boards or timbers


Classification of Japanese Wood Joints

The Japanese classify wood joints into two main categories:
1. Edge joints between flat boards (types A to D)
2. Joints between timbers that are square or approximately square in section (types E to H)

Type A
Hagia-wase (sic)
Parallel or corner joints for increasing the width of boards in the same plane; often glued

Type B
Hirauchi-tsugi
Right-angled carcase joints for furniture, often in the form of mortise-and-tenon joints

Type C
Hashi-bame-tsugi
End-grain edging to prevent warpage

Type D
Kumite-tsugi
Finger joints, corresponding to Western dovetail joints, for joining boards at any angle

Type E
Tome-tsugi
Corner joints between square timbers that are mitered to hide the end grain

Type F
Ai-gaki-tsugi
Right-angled half-lap joints

Type G
Hozo-tsugi
Right-angled mortise (hozoana) and tenon (hozo) joints

Type H
Tsugite
Splicing joints for lengthening timbers"
(pp. 146-9)

と記しており、大まかには継手・仕口がヨーロッパでは6つ、また日本では8つに大別されると述べ、その後のページではドイツ語版に倣って、ここでも手書きによる
継手・仕口の多くの名前を漢字表記で掲載しているのが注意を惹きます。
今日、こうした分類方法に異議があるかもしれませんが、アジアとヨーロッパにおける木造の構法の比較を、多数の図版を交えながらドイツで1980年代におこなっている点が重要。

0 件のコメント:

コメントを投稿