2009年7月26日日曜日

Gabolde (ed.) 2008 (Fs. J.-Cl. Goyon)


J.-Cl. Goyon
が70歳を迎えた記念の献呈論文集。双子のGabolde兄弟のうちのひとりが編集をおこなっています。
41人が執筆。目次はIFAOのウェブサイトにて公開されています。ザヒ・ハワースも古王国時代の彫像について文を寄せています。

Luc Gabolde (textes réunis et édités par),
Hommages à Jean-Claude Goyon offerts pour son 70e anniversaire.
IF 981. Bibliothèque d'Étude (BiÉtud) 143.
(Institut Français d'Archéologie Orientale (IFAO), Le Caire, 2008)
(iv), 434 p.

Table des matières:
http://www.ifao.egnet.net/uploads/publications/sommaires/IF981.pdf


Goyonと共著の多いGolvinは、リビアの神殿に関して執筆しています。

Jean-Claude Golvin,
"Le temple no 8 de Sabratha: Iséum ou Sérapéum?
Restitution architecturale, identification, datation", pp. 225-239.

エジプトだけではなく、ギリシアやローマなどの遺構にも詳しい建築畑の人間ならではの考察。
このGolvinという人は、地中海世界の古代遺跡の復原図を見事な水彩画で描くことで非常に知られており、最近は画集を何冊も出しています。検索するならば、各国語に訳されているものが出てくるはず。
アレキサンドリアの復原図も数枚描いており、ポスターにもなっていました。

Claire Simon-Boidot,
"Encore une révision de l'ostracon BM 41228 et sa représentation de reposoir de barque !", pp. 361-373.

論文のタイトルに感嘆符を付けるというのは、きわめて異例です。小さな建物の平面が描かれ、寸法も入っている石灰岩片(オストラコン)が大英博物館に収蔵されているのですが、その再吟味。幅は従来、「27キュービット」と解釈されてきましたけれど、これを著者は「17キュービット」と読み、分析がなされています。
この人は「ネビィ」と呼ばれる単位に関する考察で知られていますが、異論も多い。この論文でも、JEA 79 (1993), pp. 157-177やCdÉ LXXV/149 (2000), pp. 66-79などに掲載された「ネビィ」に関する自分の論文を註で引用していますが、この長さの単位が広く認められているわけではありません。
「ネビィ」については

Elke Roik,
Das Längenmaßsystem im alten Ägypten
(Christian-Rosenkreutz-Verlag, Hamburg, 1993)
xiii, 404 p.

の出版後、論議が高まり、Göttinger Miszellen (GM)やDiscuttions in Egyptology (DE)などの雑誌に、関連する論考が掲載されています。

0 件のコメント:

コメントを投稿