2009年7月24日金曜日

Eyre, Leahy and Leahy (eds.) 1994 (Fs. A. F. Shore)


献呈論文集のひとつ。題名の"Unbroken reed"、「壊れていないアシ」というのは日本ではちょっと訳が分かりにくい書き方ですが、旧約聖書の中の預言書である「イザヤ書」第42章3節には、

「また傷んだアシを折ることなく、ほの暗い燈火を消すこともなく、真理をもって道を示す」

という下りがあらわれ、同様の「マタイ伝」第12章20節なども踏まえた表現だとみなすことができます。アシという植物は古代エジプトで馴染みが深く、筆はアシ製でしたし、ヒエログリフにもなっていますし、エジプト学の先生を褒め讃えるにはなかなか良い文句です。
33人がこの本で執筆しています。聖書は66の書からなり、またイザヤ書も66章から構成され、その半分の数を示しますが、もちろんこれは偶然。


Christopher Eyre, Anthony Leahy, and Lisa Montagno Leahy eds.,
The Unbroken Reed:
Studies in the Culture and Heritage of Ancient Egypt in Honour of A. F. Shore.

Occasional Publications 11
(The Egypt Exploration Society, London, 1994)
vii, 401 p.

献呈論文集には重要な論文が収められることがしばしばあるのですが、しかし世界のあちこちで少数部だけ出版されるという性格の書籍のために、全部に目を通すことがなかなか難しい部類に入ります。イギリスのEESから出版されているため、それでもこれは入手しやすい本。
ピラミッドの本を書いているエドワーズが、ピラミッドの形式から第4王朝の王の順番を推測するという内容の論文を寄せていて、面白い。文字資料を重視する傾向の強い中にあって、建築のかたちから年代順が分かるのではないかという大胆な提案です。上部が失われたピラミッドを、玄室の位置や通廊の繋ぎ方で類別しています。ピラミッド時代のただ中にある第4王朝時代で、さまざまな試行錯誤が繰り返されたことが改めて了解される内容。

I. E. S. Edwards,
"Chephren's Place among the Kings of the Fourth Dynasty", pp. 97-105.

スペンサーは泥煉瓦を扱っていますが、壊れた状態の泥の塊がどのように地表にあらわれ出るのか、例をいくつか挙げて説明しています。これも泥煉瓦の遺跡を実際に見たことのある人なら納得のいく発表で、長い年月によって泥が溶け出し、地表を覆ってしまう変化によって、調査時に見誤りやすい点を指摘しています。

A. J. Spencer,
"Mud Brick: Its Decay and Detection in Upper and Lower Egypt", pp. 315-320.

エジプトの模型オタクとして広く知られるトーリーは、ゲベレイン出土の模型を扱っています。ここからはちょっと変わった様式のものが確かに出ているので、注意が必要。

Angela M. J. Tooley,
"Notes on Wooden Models and the 'Gebelein Style'", pp. 343-353.

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