2009年7月29日水曜日

Arnold 1987


ダハシュールに残るアメンエムハト3世のピラミッドに関する報告書。泥煉瓦の巨大な塊が残る遺構です。ドイツ考古学研究所カイロ支部(DAIK)からのシリーズの一冊。
「ダハシュール」の綴りは国によって異なったりするので、検索に際しては面倒なところがあります。ここではドイツ語ですからDahschurですが、英語ではDahshurもしくはDashur、フランスではDahchour、イタリア語でDahsciurなど。
なお、出土遺物を扱った第2巻、"Die Funde"はかなり遅れて2002年に出ています。

Dieter Arnold,
Der Pyramidenbezirk des Königs Amenemhet III. in Dahschur,
Band I: Die Pyramide.
Deutsches Archäologisches Institut Abteilung Kairo (DAIK),
Archäologische Veröffentlichungen 53
(Philipp von Zabern, Mainz am Rhein, 1987)
105 p., 72 Tafeln, 3 Faltpläne.

Inhaltsverzeichnis:
Vorwort, p. 7
1. Baubeschreibung, p. 9
2. Einzelbetrachtungen zur Bautechnik, p. 73
3. Die Geschichte der Pyramide und ihrer Erforschung, p. 93
4. Die Stellung des Pyramidenbezirkes Amenemhet III. innerhalb der 12. Dynastie, p. 97
5. Bemerkungen zur Entwicklung der Innerräume der Gräber von Königinnen der 12. Dynastie, p. 99
6. Sachregister, p. 104
Abkürzungsverzeichnis, p. 105

彼が51歳の時の報告書で、1979年にはディール・アル=バフリーのメンチュヘテプの建物の報告書を出版。ダハシュールにおけるアメンエムヘト3世のピラミッドに関するこの本を出した翌年の1988年には、リシュトのセンウセルト1世のピラミッドの報告書の第1巻をメトロポリタン美術館から英語で出しています。むろん、同時並行に仕事を進めていたに違いないわけで、彼の旺盛な活躍はこの頃から顕著になります。

見どころの多い報告集。
Building in Egyptに転載されている図面が多くうかがわれます。玄室の笠石の組み方はもちろんのこと、古代エジプトではきわめて珍しい、部屋と部屋とのつながりを確認するための模型の紹介、また計画寸法の検討などが面白い。
p. 82, Abb. 40には、煉瓦に指でいろいろな印を付けているさまを15例ほど挙げており、注意を惹きます。A. J. SpencerによるBrick Architecture in Ancient Egyptが1979年の出版ですから、そこには反映されていません。煉瓦についてのこうした情報は、今一度、纏められておいて良いかと思われるところです。

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