2009年4月25日土曜日

Ginouves (et Martin) 1985-1998


古代ギリシア・ローマ建築に関する大系的な事典で、3巻本です。13年をかけて完結しました。フランス・アテネ学院とフランス・ローマ学院との共同作業で、さらにはそこにCNRS(フランス国立科学研究センター)も加わっていますから、フランスの研究者たちの知恵の結集と考えても良いかもしれません。

Rene Ginouves et Roland Martin,
Dictionnaire methodique de l'architecture grecque et romaine, I:
Materiaux, techniques de construction, techniques et formes du decor
(Ecole Francaise d'Athenes, Ecole Francaise de Rome, Athenes/Rome, 1985)
viii, 307 p., 65 planches.

Rene Ginouves,
Dictionnaire methodique de l'architecture grecque et romaine, II: Elements constructifs:
Supports, couvertures, amenagements interieurs

(Ecole Francaise d'Athenes, Ecole Francaise de Rome, Athenes/Rome, 1992)
viii, 352 p., 90 planches.

Rene Ginouves,
Dictionnaire methodique de l'architecture grecque et romaine, III:
Espaces architecturaux, bâtiments et ensembles
(Ecole Francaise d'Athenes, Ecole Francaise de Rome, Athenes/Rome, 1998)
ix, 357 p., 115 planches.

古代ギリシア建築の重鎮、R. マルタンは第1巻目だけに参加しています。
その第1巻目では例えば、文章編のほぼ3分の1が索引に充てられていて、フランス語索引、ドイツ語索引、英語索引、イタリア語索引、現代ギリシア語索引、古代ギリシア語索引、そしてラテン語索引と入念に構成されています。

J.-P. Adam, La construction romaine: materiaux et techniques (Paris, 1984)とその英訳本がすでに出ていますし、またM.-Ch. Hellmann, L'architecture grcque (Paris, 2002-)のシリーズも刊行中であるため、これらでほとんどの用は足りるかもしれませんが、多国語の検索ができる点は有用で、あまり類書がありません。

図版が多く所収されていることは重要です。石材の紹介のページなどではカラー写真も使われています。図版の作成は大変だったでしょうが、その多くを描いているのは上述のアダムであることが図版リストから了解されます。
J.-Cl. ゴルヴァンもまた図の作成に関わっており、この人は古代エジプト建築のさまざまな復原図を描いていることで有名。
古典古代建築の研究がどこまで進んでいるかが良く分かる図書で面白い。

0 件のコメント:

コメントを投稿