http://ejibon.blogspot.com/2009/01/gardiner-1935.html
でも触れました。
一冊の刊行物としての豊かな纏まりを考え、話題を増やしていることが読み取れますから、目次も同時に掲げます。
「夢」と言うことだったらフロイトで、また彼が古代エジプトに興味を抱いていた経緯がありますので、どうしても扱わざるを得ない事情が生じます。
第1章が設けられた所以。
Kasia Szpakowska,
Behind Closed Eyes:
Dreams and Nightmares in Ancient Egypt
(The Classical Press of Wales, Swansea, 2003)
xii, 237 p.
Contents:
Acknowledgements (ix)
Chronology (xi)
1. Theories of dreams (p. 1)
2. The dream phenomenon (p. 15)
3. Literature and politics (p. 41)
4. Dream interpretation (p. 61)
5. Dreams and religion (p. 123)
6. Nightmares (p. 159)
7. Conclusion (p. 181)
8. Appendix of texts (p. 185)
9. List of abbreviations (p. 203)
10. Bibliography (p. 205)
11. Index (p. 231)
本の最初にマーク・トウェインの自伝からの文が引かれる他、各章の冒頭にも引用句がうかがわれますが、第2章では映画「マトリックス」からの台詞の引用があるのが驚き。モーフィアスが発した「夢を見たことがないか、ネオ?」という問いかけの部分を本に記しています。
書籍からの引用ではなく、映画の台詞ですから、おそらくは長い時代を重ねた後ではもとの史料を追跡することがきわめて困難になる部分で、面白い箇所です。「人生など跡形もなく消える」というトウェインの引用がすでにあるので、事情を承知の上での引用と思われます。著者の、エジプト学に向かって意欲的な姿勢を示す年齢がこれで推測されるとともに、ある種の諦念が同時にここには表明されていると考えることができ、興味深いところ。
第8章では、「夢の本」として良く知られる第3チェスター・ビッティ・パピルスを除き、王朝時代に属する夢に関したパピルスやオストラカなどの記述の訳を収めており、著者が読み進めたはずの博士論文の核とも言うべき部分が資料として付けられ、有用。
夢に関しては、今の人間による解釈と大して変わりばえは無いのだという結論の締めくくりが印象に残ります。
同じ著者による新刊、
Kasia Szpakowska,
Daily Life in Ancient Egypt
(Blackwell Publishing, Oxford, 2008)
も出ています。
日本語で書かれた古代エジプトの眠りについての論文は、同じ年に書かれたもの、
秋山慎一「古代エジプトにおける『ねむり』」、
屋形禎亮編「古代エジプトの歴史と社会」
(同成社、2003年)
を参照。
Daily Life in Ancient Egypt
(Blackwell Publishing, Oxford, 2008)
も出ています。
日本語で書かれた古代エジプトの眠りについての論文は、同じ年に書かれたもの、
秋山慎一「古代エジプトにおける『ねむり』」、
屋形禎亮編「古代エジプトの歴史と社会」
(同成社、2003年)
を参照。
「夢の本」における言葉遊びについての論考は、
Scott Noegel and Kasia Szpakowska,
"'Word Play' in the Ramesside Dream Manual",
"'Word Play' in the Ramesside Dream Manual",
in Studien zur Altägyptischen Kultur (SAK) 35 (2006),
pp. 193-212
などがあります。
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