見るだけであったら、もちろん可能。しかし発掘をやってるわけで、こういうすごい調査が今後もおこなわれるのであれば、是非とも参加したいと思わせます。
W. M. Flinders Petrie, with chapter by Wilhelm Spiegelberg,
Six Temples at Thebes. 1896.
(Bernard Quaritch, London, 1897)
iv, 33 p., 26 plates.
Contents:
Introduction (p. 1)
Chapter I. The Chapel of Uazmes, etc. (p. 3)
Chapter II. The Temple of Amenhotep II (p. 4)
Chapter III. The Temple of Tahutmes IV (p. 7)
Chapter IV. The Work of Amenhotep III (p. 9)
Chapter V. The Temple of Merenptah (p. 11)
Chapter VI. The Temple of Tausert (p. 13)
Chapter VII. The Temple of Siptah (p. 16)
Chapter VIII. Later Objects and Plan (p. 17)
Chapter IX. The Inscriptions (by W. Spiegelberg) (p. 20)
Chapter X. Shells Used by the Egyptians (p. 30)
建築に関する情報が各所に散りばめられている報告書で、ピートリが建築についての深い知識を豊富に有していたことが、ここからも容易にうかがわれます。建築の見方を自分で会得した人。稀有な存在です。
特別な言葉に慣れない者にとっては専門用語の「鎮壇具」と言われても「ファンデーション・デポジット」と言われても、いっこうにイメージが思い浮かばないのですが、要するに建物の下に埋められる「お供え品」あるいは「記念品」のことで、それを基礎の下から見つけ出しており、貴重な報告。中でも「ネフェル」の文字を書き込んだ石片が報告されていて、これはアブ・シールのカエムワセトの遺構からも出ていたはず。
「古代エジプトにおける鎮壇具」という題の博士論文はすでに英語で書かれていますが、時を経ていますので、情報の更新が必要となっています。
James Morris Weinstein,
Foundation Deposits in Ancient Egypt
(Dissertation, University of Pennsylvania. 1973)
lxxvi, 437 p.
さて、
"The two model corn grinders of yellow quartzite have the 'nefer' signs and a border line painted on in black." (p. 15)
と記していて、解釈が面白い。
図版21では、出土したさまざまな工具を紹介しており、特に3つのノコギリに関する言及が注目されます。
"The saws are of the Eastern type, to cut when pulling and not when pushing. There is no appreciable set in the teeth to alternate sides in order to clear the way in cutting; but the rake of the teeth toward the handle is obvious in the longest saw, implying the pulling cut." (p. 19)
と、ノコギリの目立ての有無などについても細かく観察していて、さすがです。わざわざ「このノコギリは手前に引く時に切れるもので、押す時に切れるものではない」と書いてあります。
日本人だったら、当たり前のことなのでこういうことは報告書に書かないはず。というのは、日本のノコギリはみな引く時に切れるタイプなのですが、西洋のノコギリは押す時に切れるタイプで、方向が逆となります。彼らにとっては、そちらの方が奇異。
"Eastern type"なのだと記しているのはこのためです。
石材に記されていた書きつけをシュピーゲルバーグが報告しており、労働者たちが「右班」と「左班」とに分かれていたことをすでに19世紀末に指摘していて、偉大な学者であったことを改めて思い知らされます(pp. 22-23)。図版9の24番は"position of filling"と訳されており、建造に関わるグラフィティとしての例がきわめて少ないヒエラティックの「 r' 」(ラー)が記されている点は重要。ラメセウムの他、KV 5などで類例があります。
"The two model corn grinders of yellow quartzite have the 'nefer' signs and a border line painted on in black." (p. 15)
と記していて、解釈が面白い。
図版21では、出土したさまざまな工具を紹介しており、特に3つのノコギリに関する言及が注目されます。
"The saws are of the Eastern type, to cut when pulling and not when pushing. There is no appreciable set in the teeth to alternate sides in order to clear the way in cutting; but the rake of the teeth toward the handle is obvious in the longest saw, implying the pulling cut." (p. 19)
と、ノコギリの目立ての有無などについても細かく観察していて、さすがです。わざわざ「このノコギリは手前に引く時に切れるもので、押す時に切れるものではない」と書いてあります。
日本人だったら、当たり前のことなのでこういうことは報告書に書かないはず。というのは、日本のノコギリはみな引く時に切れるタイプなのですが、西洋のノコギリは押す時に切れるタイプで、方向が逆となります。彼らにとっては、そちらの方が奇異。
"Eastern type"なのだと記しているのはこのためです。
石材に記されていた書きつけをシュピーゲルバーグが報告しており、労働者たちが「右班」と「左班」とに分かれていたことをすでに19世紀末に指摘していて、偉大な学者であったことを改めて思い知らされます(pp. 22-23)。図版9の24番は"position of filling"と訳されており、建造に関わるグラフィティとしての例がきわめて少ないヒエラティックの「 r' 」(ラー)が記されている点は重要。ラメセウムの他、KV 5などで類例があります。
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