この号だけを単独で購入したのは面白い内容に惹かれたためで、建築と関わりの深い特別な号。合併号です。
The Journal of Egyptian Archaeology,
Vol. IV, Parts II-III
(The Egypt Exploration Fund, London, April-July 1917)
pp. 71-210.
ツタンカーメンの墓を発見する前のハワード・カーターが2編書いていますが、ひとつは文献学者ガーディナーとの共同執筆で、墓の平面図が描かれていることで知られているトリノのパピルスを扱っています。
Howard Carter and Alan H. Gardiner,
"The Tomb of Ramesses IV and the Turin Plan of a Royal Tomb,"
JEA 4 (1917), pp. 130-158.
132ページと133ページとの間に挟まっている両開きカラー刷りのPl. XXIXが欲しかったので買ったようなもの。図書館ではたいてい雑誌を製本してしまうため、本が思うように開けなくなります。このカラー図版は
Ernesto Scamuzzi,
Museo Egizio di Torino
(Torino, 1963)
などでも見られるはず。
玄室には何重にも黄色い長方形が石棺を囲んで入れ子状に描写されていますが、この論文が発表された当時、その意味が良く分かりませんでした。レプシウスは「階段かも」などと言っています。その後、ツタンカーメンの黄金の厨子が何重にも石棺の上に覆い被さっているのが分かって、この問題は氷解しました。
墓の右側・左側に関する記述が出てきますが、墓の奥から入口を向いた時の左右で表記されている点もきわめて重要です。
カーターの名前で発表されているもう一本の論文は発掘報告書で、もとはふたつの報告をJEAの編集者がひとつに纏めたもの。こういう形式も珍しい。註などを編集者が加えています。
Howard Carter,
"A Tomb prepared for Queen Hatshepsuit and Other Recent Discoveries at Thebes,"
pp. 107-118.
この他には建築関連で以下の2編が注目されます。
N. de Garis Davies,
"An Architect's Plan from Thebes,"
pp. 194-199.
Ernst Mackay,
"Proportion Squares on Tomb Walls in the Theban Necropolis,"
pp. 74-85.
さらには巻末近くの"Notes and News"で、メトロポリタン美術館による「アメンヘテプ3世の居住都市」、つまりマルカタ王宮の発掘にも少しだけ触れられており、このような理由で、当方としてはこの号をどうしても購入せざるを得ませんでした。
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