Hany Assaad and Daniel Kolos,
The Name of the Dead:
Hieroglyphic Inscriptions of the Treasure of Tutankhamun Translated
(Benben Publications, Ontario, 1979)
129 p.
最初に、ヒエログリフが横書きでも縦書きでも、また右から左にも、その反対に左から右にも書けるさまが示され、24からなるアルファベット表がこれに続きます。
巻末には、用いられている象形文字の説明を所収。ガーディナーによるサイン・リストの簡略版です。
本文では20ほどのさまざまな遺物が選択されて、それらに記された文字を次々と示していきます。第1行目にはヒエログリフが、第2行目には文字の音価を示すトランスリテレーションが、第3行目には発音が、第4行目には文字通りの意味が、そして第5行目にはこなれた訳が並びます。
ここまで丁寧に説明してくれる本というものは、いろいろと入門書が著されている今日でも少ないかもしれません。
文字の抜けや、本来の文字の順番とは逆になっている部分については註で触れています。王のための副葬品であるにも関わらず、けっこう間違いがあると言う意外な事実もこれで分かります。
専門家向けにはその後、ツタンカーメンの墓から出た遺物に記されたヒエログリフによる文字資料のすべてが一冊に纏められ、出版されています。グリフィス研究所から出されている、ツタンカーメン・シリーズの中の一冊。
Horst Beinlich und Mohamed Saleh,
Corpus der hieroglyphischen Inschriften aus Grab des Tutanchamun
(Griffith Institute, Oxford, 1989)
xvi, 282 p.
この墓からは少数のヒエラティックによる文字資料も見つかっていますが、それらはまた別にチェルニーが報告しており、グリフィス研究所から刊行されています。主として土器の肩に記された文字列。
ベンベン出版社は、カナダにおけるエジプト学関連の書籍を扱うところとして有名。
8ページには近刊書として、
Ancient Egyptian Plans, 2 vols.
という広告が掲載されており、第1巻では都市、城塞、神殿の図面が、また第2巻では主要な墓とピラミッドの図面が集められて出版される予定であったらしいのですけれども、惜しいことにまだ刊行されていない模様です。
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