2009年3月3日火曜日

Badawy 1954-1968


古代エジプトの建築史と言えば、バダウィのこの3冊本。先王朝時代から新王国時代の終わりまでを扱っています。グレコ・ローマ時代までの建築を扱うはずであった4冊目は、とうとう出版されませんでした。代わりにD. アーノルドがTemples of the Last Pharaohs (Oxford University Press, New York and Oxford, 1999)を出しています。

Alexander Badawy,
A History of Egyptian Architecture, 3 Vols.

Vol. I: From the Earliest Times to the End of the Old Kingdom
(published by the author, Giza, 1954)
xv, 212 p., VIII plates.

Vol. II: The First Intermediate Period, the Middle Kingdom, and the Second Intermediate Period
(University of California Press, Berkeley and Los Angeles, 1966)
frontispiece, xxvii, 272 p.

Vol. III: The Empire (the New Kingdom), From the Eighteenth Dynasty to the End of the Twentieth Dynasty 1580-1085 B.C.
(University of California Press, Berkeley and Los Angeles, 1968)
frontispiece, xxxix, 548 p.

第1冊目は自費出版でしたが、2巻目以降はカリフォルニア大学の出版局から刊行されています。第1巻は入手が困難であったために、レプリントが「人類の歴史とミステリー社」から1990年に出ています。この面白い名前の出版社も、古書を扱っていたマイケル・サンダースという人が興した会社。

古代エジプトの建築史には3つほどの種類があって、ひとつ目は美術史家によるもの。ふたつ目は考古学者によって執筆されたもの、3つ目が建築の専門家によって記されたもの。それぞれ違いがあるので、読み比べると面白い。
バダウィの本はしかし、ややカタログ的で、建築表現の変転に主眼を置く人からは、辛口の批評が寄せられる傾向にあります。この辺の事情を書いた文を訳したことがあります。以下を参照のこと。誤字脱字が混じっています!

http://www.waseda.jp/prj-egypt/sites/EgArch/Haeny.htm


新王国時代を扱う第3巻では、建物の軸線を扱った章があり、他の本ではなかなか見られません。B. ケンプやK. スペンスたちはこれを参照しながら自論を展開していますけれども、註にはあらわれ出なかったりする場合もあります。
カラー図版で紹介される何枚かの復原図は、今となっては多少の修正が必要となっています。

バダウィの初期の代表作は、3次元の世界に存在する建築が、どのように2次元の絵画で表現されるかを追究したもので、この種の研究もあまり類例がなく、珍しい。

Alexander Badawy,
Le dessin architectural chez les anciens egyptiens:
Etude comparative des representations egyptiennes de constructions

(Service des Antiquites de l'Egypte, Le Caire, 1948)
xxiii, 291 p.

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