Ernesto Scamuzzi,
Museo Egizio di Torino
(Edizioni d'Arte Fratelli Pozzo, Torino, 1963)
CXIV tavole.
Ernesto Scamuzzi,
translated by Barbara Arnett Melchiori,
Egyptian Art: In the Egyptian Museum of Turin
(Harry N. Abrams, New York, 1965)
パピルスに描かれた王家の谷の墓の平面図がカラーで紹介されたりしており、建築学的には貴重な図集。ただ、これらはページが打たれていない本で、いささか使いづらい書です。
それでも、比較的詳しい記述がうかがわれ、きわめて有用。
Leospo 2001のところで述べた通り、Donadoni Roveri (ed.) 1988-1989の3巻本がその後に出ていますが、これはトリノ・エジプト博物館にある遺物を使ってエジプト文明をさらに詳しく系統的に解説しようとしたもので、遺物そのもののカタログではありません。博物館収蔵の遺物のカタログの刊行は別に、それと並行して当時、すでに始められています。
このカタログは、
Il Catalogo, Serie I - Monumenti e Testi
Il Catalogo, Serie II - Collezioni
のように、大きくふたつのシリーズに分かれています。
後者に属する代表的な例が、以下に示すオストラカ(石灰岩片や陶片に文字や絵を書いたもの)のカタログ。ヒエラティックの文字列が記されたものを扱い、4巻本です。
Jesús López,
Ostraca ieratici, 4 fascicoli.
Catalogo Generale del Museo Egizio di Torino (CGT):
Serie II (seconda) - Collezioni, Volume III, Fasc. 1-4.
(Istituto Editoriale Cisalpino, Milano, 1978-1984)
Fascicolo 1: Ostraca ieratici, n. 57001-57092 (1978)
54 p., tavole 1-50.
Fascicolo 2: Ostraca ieratici, n. 57093-57319 (1980)
82 p., tavole 51-100.
Fascicolo 3: Ostraca ieratici, n. 57320-57449 (1982)
54 p., tavole 101-150.
Fascicolo 4: Ostraca ieratici, n. 57450-57568 / Tabelle lignee, n. 58001-58007 (1984)
57 p., tavole 151-210.
2年おきに1冊ずつ刊行。図版を50葉ずつ出したことが良く分かります。黒と赤との2色刷を用い、実際のもので見られるインクの色の違いの様子を忠実に表現しようとしています。
ディール・アル=マディーナから出土してフランス隊が報告しているもの(O. DeM)、カイロ博物館にあるもの(O. Cairo)、大英博物館に収められているもの(O. BM)と並んで、重要な史料集。新王国時代の石灰岩のオストラカというのは主にテーベからしか出土しておらず、これらは基本的にディール・アル=マディーナ学ともいうべき特殊な領域の史料を構成しています。
オストラカの見つかり方には斑があって、例えばとても長生きしたラメセス2世時代に属するとはっきり判別されるものというのは、不思議なことに相対的には数がそれほど多くありません。J. Janssenの指摘。"Funerary cone"というのも、テーベからしか見つかっていませんでした。思えば不思議な地域です。
著者はカルナック神殿から見つかったタラタートの書きつけについても報告しており、10個にひとつの割合でチェックのために記されているのではないかという指摘が面白い。
Jesús López,
"Inscriptions hiératiques sur les talâtât provenant des temples d'Akhénaton à Karnak",
Cahiers de Karnak VIII (IFAO, Le Caire, 1978), pp. 245-270.
(Cf. Kramer 2009, col. 18)
この報告では、アマルナで見つかりながらも、読解が進められていなかったヒエラティックについても訳を提示しており、City of Akhenatenのシリーズ、つまり CoA I-III, 4 Vols. (1923-1951) の記述内容を一部補完しています。
追記:
トリノ博物館の収蔵品をカラーで紹介しているハンディ・サイズのガイドブックとしては、Vassilika 2009が新しく出ています。(2009.10.18)