2009年12月24日木曜日

Bierbrier 2008 (2nd ed.)


M. L. ビアブライヤーによる古代エジプト歴史事典の改訂版。全体の約2/3が事典で各項目の短い解説。これにアペンディクスとして参考文献リストなどの諸情報が加わります。
図版はほとんど掲載されていません。

Morris L. Bierbrier,
Historical Dictionary of Ancient Egypt.
Historical Dictionaries of Ancient Civilizations and Historical Eras, No. 22
(The Scarecrow Press, Lanham, Maryland, 2008, second edition. First published in 1999)
xxxix, 427 p.

すでに同じく改訂を重ねている「大英博物館古代エジプト百科事典」、つまりShaw and Nicholson 2008 (2nd ed.)の存在が強力であるため、項目説明の部分はどうしても見劣りがするかもしれません。しかし各々の説明を短くすることで、逆に項目数を大幅に増やしています。

例えば117ページから"KV"(テーベの「王家の谷」の略称)の説明が始まり、その直後の"KV1"から128ページの"KV63"まで延々と続いているのが典型。また私人名、タイトル(職名・肩書き)などをたくさん取り入れており、"High Priest of Ptah"などという項目があるのも本書の特徴。 アペンディクスAでは、紀元7世紀まで及ぶ支配者たちの人名が列記されるなど、工夫されています。ビザンティン時代の皇帝たちなどをも含んだ長いリストです。
アペンディクスBは古代エジプトの遺物を収蔵している世界の博物館の住所録。とは言え、日本の博物館はふたつしか掲載されていませんが。 そのひとつは東京の"Ukebukuro"にあるそうです。併記されている郵便番号は3桁しか無く、一体いつ頃に得た情報なのかと疑われるところ。インターネットで確認することがおこなわれていません。

311ページから最後まで続く参考文献リストに、本書の特色が最もあらわれているかもしれません。ほぼ100ページにわたって、エジプト学に関する基本的な文献が網羅されているからです。古いもの、また英語で書かれたもの以外はなるべく外されるという手続きがここでも取られていますけれども。 全体は「歴史」、「美術と建築」、「宗教」、「言語と文学」、「数学と天文学」、「科学と技術」、「博物館の収蔵品」というように20項目ほどに分けられており、最初の"General Works"ではいわゆる「総記」が扱われています。
特に"Archaeology: Excavations and Surveys"では遺構名がアルファベット順に並んでいますから、ポーター&モス(Porter and Moss (PM), 8 Vols.)の簡略版がここに挿入されているともみなされます。有用です。 膨大な文献リスト。
ただし、文献の選択眼には揺らぎが感じられ、今ひとつ中途半端な感じが否めません。重要な書籍をすべて網羅しようとした訳ではない、ということは承知されますけれども、もう一工夫があっても良かったのではないかと惜しまれます。

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