http://www.britishmuseum.org/research/online_journals/bmsaes/issue_13.aspx
この号には、同僚でもある早稲田大学の馬場匡浩さんによる論考も載っていて注目されるのですが、建築とはあんまし縁のない、ナカーダ2期の土器の製造についての論文でもあることだし、ここではちょっと飛ばして建物に関わる別の論文を紹介。
この号には、同僚でもある早稲田大学の馬場匡浩さんによる論考も載っていて注目されるのですが、建築とはあんまし縁のない、ナカーダ2期の土器の製造についての論文でもあることだし、ここではちょっと飛ばして建物に関わる別の論文を紹介。
Angela La Loggia,
"Egyptian Engineering in the Early Dynastic Period:
The Sites of Saqqara and Helwan",
BMSAES 13 (2009), pp. 175-196.
http://www.britishmuseum.org/research/online_journals/bmsaes/issue_13/laloggia.aspx
「柱廊」という意味の名前を持っているこの人の論文については以前、BACE 19 (2008)にて触れたことがあります。題名にも明らかなように、古代エジプトの初期における建築技術に関して述べられており、特に石と木の天井が構造力学的に妥当な寸法を有していたかを考察。数式を並べる論考ではないので、読みやすい。
グラフにも工夫が凝らされていて、壁体の実際の高さと厚さ、また計算された強度との関係を一枚の中に表現しようとしています。一方、図6の、木の梁の撓みを示した曲線は、建築の人間だったらこういうふうには描かなかったはず。
計算が大ざっぱではないかという見方もあるかもしれませんが、でも結論としてはどちらにせよ、「現代から見ても建材の用い方が理にかなっている」、そういうことになるかと思います。5000年前の遺構に、現代の構造計算を当てはめようとする試みで、意欲は買うべきかと思われます。
Walter B. Emeryの素晴らしい図版が何枚か、転載されています。巨大な建物なのに、煉瓦の目地も全部描き入れ、なおかつ屋根を一部分取り除いて内部の構成を見せるという、カットアウトが施された詳細なアクソノメトリック・ドローイング。
出版されてから50年以上経つのに、未だ引用され続けている有名な図版で、こういう図が描けるかどうかは勝負のしどころ。
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