Ian Shaw and Paul Nicholson,
The British Museum of Ancient Egypt
(The British Museum Press, London, 2008, 2nd ed.
First published in 1995, 328 p.)
368 p.
白地であったブックカバーが今度は黒地に改変。
序文には、
「アマルナやグラーブ、メンフィスなど、重要な地域における最新の調査の成果を盛り込んだ」
などと書いてあって、確かにその通りなんですけれども、グラーブは執筆者のひとりであるショーの現在における調査現場でもあるわけで、ここは自分で自分の成果を褒めている結果となっています。
「ガラス」の項目が比較的詳しいのも笑えるところです。もうひとりの著者、ニコルソンの専門分野。
主なエジプト学者やその写真、また遺構の平面図・カラー写真などを加え、たいへん見やすくなっています。日本隊の成果も反映され、「ダハシュール」、「カエムワセト」、「マルカタ」の各項目には参考文献とともに紹介されています。
「アコリス」の項目で鈴木まどか先生による論文しか載っていないのは、しかし片手落ち。
巻末には本書で取り上げられることとなった88人のエジプト学者たちのリスト、王家の谷の墓の番号と埋葬者のリスト、またテーベにおける私人墓の墓番号と埋葬者のリストなどが加えられてもいます。Porter and Mossを持っていればそれを見れば良いのでしょうが、特にTT No. (テーベの墓番号)は一般書においてはL. Manniche, City of the Dead: Thebes in Egypt (London, 1987)の巻末等、一部にしか掲載されていなかったはずでしたので有用。
エジプト学のハンディな事典と言えば、1960年代に刊行の、G. ポズナーによるフランス語で書かれたものがありました。小さいけれども要所にカラー写真が添えられ、良い本でした。しかしもう50年前のものであるし、役割を終えつつあると言って良いのかもしれません。
判型も、英語で読めるこちらの方が大きい。
巻末の3ページにわたる王ごとの年表では、「紀元前690年より前の年の数字は全部だいたいです」(!)と簡単で大胆な注意書きがしてあって、一般向けにはこれで良いという判断。
参考文献については英語で書かれたものをできるだけたくさん挙げたと断っており、これが万能で唯一のものではないことを充分知っておく必要がありますが、非常に使いやすく、お勧めの一冊です。
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