比較的簡単に複写を入手することができ、ここ数日をかけて目を通しましたが、非常に面白かった。
John Greaves,
Pyramidographia:
or A Description of the Pyramids in Aegypt
(Printed for George Badger, and are to be sold at his shop in St Dunstans Churchyard in Fleet-street, London, 1646)
(xiii), 142 p. (?), illustrations.
(Contents:)
The Preface (iii)
Of the Authors or Founders of the Pyramids (p. 1)
Of the Time in which the Pyramids were built (p. 16)
Of the end or intention of the Pyramids, that they were for Seplchers: where, by the way is expressed the manner of imbalming used by the Aegyptians (p. 43)
A description of the Pyramids in Aegypt, as I found them, in the ⅭⅠↃ XL VIII yeare of the Hegira, or in the yeares ⅭⅠↃ DCXXXVIII, and ⅭⅠↃ DCXXXIX of our Lord, after the Dionysian account (p. 67)
A description of the first and fairest Pyramid (p. 67)
The description of the inside of the first Pyramid (p. 79)
A description of the second Pyramid (p. 103)
A description of the third Pyramid (p. 108)
Of the rest of the Pyramids in the Libyan desert (p. 114)
In what manner the Pyramids were built (p. 115)
The Conclusion (p. 119)
高さ16cm、幅10cmほどの小さな本です。p. 119の次にはp. 142が来ています。本文の前に置かれた13ページ分などが、最終ページには含まれて表記されているのかとも思われますが、それにしても勘定が合わず、詳細は不明。
本当は著者の名前はIOHN GREAVESと記されてあって、これはラテン語表記。また活字の"s"と"f"との区別がつきにくく、注意が必要です。
すでに上記の目次でお分かりの通り、1000に対する数字の表記は"M"を用いていません。例えば3000は本文中で"ⅭⅠↃ ⅭⅠↃ ⅭⅠↃ"とあらわされています。ここら辺の読み方は、インターネットで"Roman numeral"を検索すれば情報がすぐに出てきます。便利な時代です。
17世紀の本ですから、"yeare"などと記されるのも興味深いところ。
67ページから始まる章名では、"the first and fairest Pyramid"と言葉遊びも交えています。
本の前半は当時知られていたことのまとめで、頭がおかしくなりそうな記述が満載。しかしピラミッドにまつわる今日の怪しげで胡散臭い論議のほとんどが、ここで全部提出されているとも見ることができます。
著者はオクスフォード大学の教授であった人。天文学者で50歳の時に亡くなりましたが、学者には収まらずにどうやら破天荒な人生を送った模様。大旅行家で、古代ローマの度量衡に関する本も出版しています。
たぶん、時代の間尺に合わなかった人でした。
ジョン・グリーヴスによる「ピラミドグラフィア」はアイザック・ニュートンの注意を惹き、キュービットの長さに関する論文が執筆される契機となります。この論文はニュートンの生前には発表されませんでしたが、これを後世に向け、積極的に紹介したのがThomas Birchで、バーチはJ. Greavesの一連の著作についても同じようにまとめて紹介をおこなっています。
これらを読んで、再びピラミッドの実測を試みたのがエジプト学の始祖であるフリンダース・ピートリです。まるで手帖のような一冊の小さな本を出発点として始まった経緯を考え合わせながら繙くと、エジプト学、あるいはピラミッド学の成立過程の縮図が立ちあらわれます。
授業でこの小さな本をどう使おうかと思案中。
本の前半は当時知られていたことのまとめで、頭がおかしくなりそうな記述が満載。しかしピラミッドにまつわる今日の怪しげで胡散臭い論議のほとんどが、ここで全部提出されているとも見ることができます。
著者はオクスフォード大学の教授であった人。天文学者で50歳の時に亡くなりましたが、学者には収まらずにどうやら破天荒な人生を送った模様。大旅行家で、古代ローマの度量衡に関する本も出版しています。
たぶん、時代の間尺に合わなかった人でした。
ジョン・グリーヴスによる「ピラミドグラフィア」はアイザック・ニュートンの注意を惹き、キュービットの長さに関する論文が執筆される契機となります。この論文はニュートンの生前には発表されませんでしたが、これを後世に向け、積極的に紹介したのがThomas Birchで、バーチはJ. Greavesの一連の著作についても同じようにまとめて紹介をおこなっています。
これらを読んで、再びピラミッドの実測を試みたのがエジプト学の始祖であるフリンダース・ピートリです。まるで手帖のような一冊の小さな本を出発点として始まった経緯を考え合わせながら繙くと、エジプト学、あるいはピラミッド学の成立過程の縮図が立ちあらわれます。
授業でこの小さな本をどう使おうかと思案中。