この町についてはストラボンによる記述の中にうかがわれ、そこではヘラクレスを祀った神殿「ヘラクレイオン」にも言及されています。
フランク・ゴディオが率いるアレキサンドリアの海中調査に関しては、すでに広く知られているところ。このカノープス地域における調査も大がかりで、対象となる海域が 約110平方キロメートル、と記しています。1990年代の初頭から予備調査が始められ、長い年月にわたる調査ですけれども、もちろんこのような広さの海底全部を潜って精査できるはずもなく、最新の探査機器やGPSなどが駆使されています。
2009年の6月、ゴディオ隊による調査の成果は横浜において「海のエジプト展」として公開され、そこでは多様な遺物とともに大画面に映し出される映像も見ることができるとのことですが、おそらくはここに記された内容が中心のひとつとなるはず。
Franck Goddio,
Underwater Archaeology in the Canopic Region in Egypt:
The Topography and Excavation of Heracleion-Thonis and East Canopus (1996-2006).
Oxford Centre for Maritime Archaeology (OCMA): Monograph 1
(Institute of Archaeology, University of Oxford, Oxford, 2007)
xvi, 136 p.
Contents:
Chapter 1: Introduction: The Canopic region - presentation of the project
Chapter 2: The ancient topography of the Canopic region - East Canopus
Chapter 3: Heracleion
朝日新聞社による「海のエジプト展」の 公式ページは、
http://www.asahi.com/egypt/?ref=recc
となります。
カラー図版がふんだんに盛り込まれた贅沢な作りの報告書で、ほとんど全ページにカラー図版が挿入されているといっても過言ではありません。海底における等高線が作成され、そこに遺物が書き込まれるという基本的なシステムが組まれています。
かつては陸地であったカノープスの町は、その後、海の底に沈んでしまいました。その復元をこの巻ではおこなっています。
注目される遺物は鉛などで造られた船のアンカーで、これが深い場所から相当数、見つかっています。この情報を元に、昔は船が行き来していた運河や水路の領域が大まかに特定され、等高線と重ね合わせて考えるならば、どこに往時の海抜があったのかを推定することができます。沈んでしまった陸の輪郭を描き出す作業がおこなわれたら、石材が散らばる建物址も見つけ出されていますから、島に建っていた神殿の位置も割り出すことができるという過程を踏んでいます。
「海のエジプト展」において提示されるこの都市の復原では、こうした考察の流れを経て復原されているのだと考えると判りやすい。
ヘラクレイオンの建材、石碑(ステラ)、彫刻像、その他の出土遺物が多数のカラー写真とともに紹介されていますし、報告書としては非常に分かりやすい書き方がなされています。
研究資金面で協力しているヒルティは小国リヒテンシュタインの会社で、土木建設業を主とし、現在では世界中に支社を構えています。民間から資金を得、学術的にはオクスフォード大学からの強力なバックアップを背景に出版された本。
Franck Goddio,
Underwater Archaeology in the Canopic Region in Egypt:
The Topography and Excavation of Heracleion-Thonis and East Canopus (1996-2006).
Oxford Centre for Maritime Archaeology (OCMA): Monograph 1
(Institute of Archaeology, University of Oxford, Oxford, 2007)
xvi, 136 p.
Contents:
Chapter 1: Introduction: The Canopic region - presentation of the project
Chapter 2: The ancient topography of the Canopic region - East Canopus
Chapter 3: Heracleion
朝日新聞社による「海のエジプト展」の 公式ページは、
http://www.asahi.com/egypt/?ref=recc
となります。
カラー図版がふんだんに盛り込まれた贅沢な作りの報告書で、ほとんど全ページにカラー図版が挿入されているといっても過言ではありません。海底における等高線が作成され、そこに遺物が書き込まれるという基本的なシステムが組まれています。
かつては陸地であったカノープスの町は、その後、海の底に沈んでしまいました。その復元をこの巻ではおこなっています。
注目される遺物は鉛などで造られた船のアンカーで、これが深い場所から相当数、見つかっています。この情報を元に、昔は船が行き来していた運河や水路の領域が大まかに特定され、等高線と重ね合わせて考えるならば、どこに往時の海抜があったのかを推定することができます。沈んでしまった陸の輪郭を描き出す作業がおこなわれたら、石材が散らばる建物址も見つけ出されていますから、島に建っていた神殿の位置も割り出すことができるという過程を踏んでいます。
「海のエジプト展」において提示されるこの都市の復原では、こうした考察の流れを経て復原されているのだと考えると判りやすい。
ヘラクレイオンの建材、石碑(ステラ)、彫刻像、その他の出土遺物が多数のカラー写真とともに紹介されていますし、報告書としては非常に分かりやすい書き方がなされています。
研究資金面で協力しているヒルティは小国リヒテンシュタインの会社で、土木建設業を主とし、現在では世界中に支社を構えています。民間から資金を得、学術的にはオクスフォード大学からの強力なバックアップを背景に出版された本。
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