この一辺を2で割ると11メートルで、もとの高さとの比は11:14になります。一辺を2で割ると言うことは、ピラミッドの一辺の中央から正方形の底面の中心(対角線の交点)、つまりピラミッドの中心までの長さを求めるということ。ですからこの長さと高さとの比を考えるということは、ピラミッドの斜面の勾配を考えることと同じになります。
この比はまた、7を基準とする時の値に着目するならば、両方の値をさらに2で割って、11:14=5 1/2:7。何故、7を基準とする値を考えるかと言いますと、当時の古代尺であるキュービット尺が、1キュービット=7パームという制度であったからです。斜めの勾配については、パームで指定する方法「セケド」がありました。リンド数学パピルスで読むことができる内容です。
大きな値が7の時に、小さな数の方はセケドで 5 1/2になりますから、第4王朝のクフ王のピラミッドなどと同一の勾配をめざしたピラミッドであったのではないかという推測が、断片的なニュースの内容から知ることができるわけです。クフ王のピラミッドの勾配(セケド)が5 1/2であるという点は、良く知られている事項。
第6王朝に属するこのピラミッドは、復古的な意味合いを有するものであったのかもしれませんが、大ざっぱな寸法の伝聞をもとにした仮定ですから、詳しくは専門家による報告を待たなければなりません。
ピラミッドに関する数多くの本のうち、ドイツ語で書かれた以下の2巻本は、海外の同好の士たちの水準が高いことを充分に伝える興味深い出版物。「エジプト趣味の同好会」が出しています。
Hobby-Aegyptologen der Gruppe Rott,
Aegyptische Pyramiden: Von den Lehmziegel-Mastabas der 1. Dynastie bis zu den Pyramiden der 13. Dynastie >300-1750 v. Chr.<
Band 1, Katalog zur Ausstellung
(Laufen Druck GmbH, Aachen, 1994)
255 p.
Band 2
(Hobby-Aegyptologen e. V., Rott, 1997)
143 p.
手助けしてくれた研究者たちの名前も記載されているものの、あちこちから図面を集めてきて、かなり詳しい図示をおこなっており、初期王朝のマスタバから中王国時代のピラミッドまでを包括的に扱っています。縮尺を揃えて多数のピラミッドを並べて見せてくれている点は有用です。
図各面の縮尺をある程度、揃えているところなども非常に使いやすい工夫ですけれども、1/333という縮尺はしかし、他の本ではあまり見られません。1/1000の、そのまた1/3という大きさです。
巻末には年表がついています。
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