2010年1月2日土曜日

Davies 1999


古代エジプトの新王国時代末期に栄えたディール・アル=マディーナと呼ばれる村にはどのような人が住んでいたのか、その人名録。こういう特殊な字引が造られるというのが面白い。オランダのレイデンを根城としている、ディール・アル=マディーナ研究シリーズのうちの一冊。およそ3200年前の村にいた人たちの調書でもあります。
J. チェルニーが創始し、J. J. ヤンセンが拡張したディール・アル=マディーナ学とも言うべき分野が、堅実に継承されていることを示す本。

Benedict G. Davies,
Who's Who at Deir el-Medina:
A Prosogographic Study of the Royal Workmen's Community.

Egyptologische Uitgaven XIII
(Nederlands Instituut voor het Nabije Oosten te Leiden, Leiden, 1999)
xxiv, 317 p., 47 charts.

ディール・アル=マディーナについてはサイトも開設されており、重要。
イギリス・フランス・アメリカ・ドイツ・ロシアなどにもこの村を調べている研究者たちがいて、オランダ語やイタリア語による既往の研究もあり、これらを辿ろうと志す初学者には試練となります。ヒエラティックで記されたオストラカは総数で一万点以上あるはずで、全部が出版されていない状態。グリフィス研究所にあるチェルニーのたくさんのノートにも全部は記されていなくて、未刊行資料をどれだけ知っているかがカギとなる世界。
著者は第19王朝の厖大な文字史料を概観する本も出しています。KRIの簡略版。

Benedict G. Davies,
Egyptian Historical Inscriptions of the Nineteenth Dynasty.
Documenta Mundi: Aegyptiaca 2
(Paul Åströms Förlag, Jonsered, 1997)
x, 363 p.

その前には、第18王朝の史料を訳してもいます。Urkunden IVの、ヘルクがやった仕事の英訳。

Benedict G. Davies,
Egyptian Historical Records of the Later Eighteenth Dynasty, Fascicles IV-VI
(Aris & Phillips, Warminster, 1992-1995. Translation from the original hieroglyphic text as published in Wolfgang Helck, "Urkunden der 18. Dynastie", Hefte 20-22).

Fascicle IV (1992)
xv, 78 p.

Fascicle V (1994)
xx, 103 p.

Fascicle VI (1995)
xxvi, 129 p.

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