2009年1月26日月曜日

Imhausen 2003


古代エジプトの数学についての本で、題は「エジプトのアルゴリズム」。リンド数学パピルスが中心となりますが、モスクワ・パピルスなども扱われています。AeAのシリーズ(Aegyptologische Abhandlungen)から出されました。
著者の博士論文です。

Annette Imhausen,
Agyptische Algorithmen:
Eine Untersuchung zu den mittelagyptischen mathematischen Aufgabentexten.
Aegyptologische Abhandlungen, Band 65
(Harrassowitz Verlag, Wiesbaden, 2003)
xi, 387 p.

著者は大学で数学を学んだ後にエジプト学を始めたようです。修士論文はモスクワ数学パピルスを対象として書いた模様。今、もっとも古代エジプトの数学に詳しい人間です。

彼女のサイトが用意されています。古代の数学が専門領域なので、シュメール語、アッカド語、古代ギリシア語、ラテン語もできると書いてありました。

http://www.annetteimhausen.com/


さて、リンド数学パピルスに関してはすでにピートやチェイスなどによって出版されており、和訳も出版済み。ここでは算法が問題とされています。
セケド(seked)に関しては章が設けられ、特別な定め方ではなかったと述べています。この意見には賛成で、セケドそのものは、よく用いられたはずの簡明な方法でした。
ただ建設の現場では、「1キュービットにつき」という前提条件が省略されるために、一見、難解な言い方に見えるだけです。このことを知っていれば、第一アナスタシ・パピルスの「オベリスクの問題」も解くことができるように思われます。

中王国時代の数学については、最近、イタリア語でも研究書が出されました。一部をインターネットで見ることもできます。

Alice Cartocci,
La matematica degli Egizi: I papiri matematici del Medio Regno
(Firenze University Press, Firenze, 2007)
148 p.

冊子体(15ユーロ)とは別に、電子出版(10ユーロ)でも購入できる点が面白い。
セケドについてはしかし、新しい見方をしていないようです。

0 件のコメント:

コメントを投稿