2009年1月3日土曜日

Hellmann 2002


古代ギリシア建築に関する包括的な解説書。建造技術に興味がある研究者にとっては必携の、きわめて重要な本です。全4巻の刊行が予定されており、これまで第2巻まで出版されました。
出版社Picardはパリの老舗の本屋さんで、とても有名です。

Marie-Christine Hellmann,
L'architecture grecque, vol. 1: Les principes de la construction.
Manuels d'art et d'archeologie antiques
(Picard, Paris, 2002)
351 p.

図版は豊富で、このうちのpp. 8-16, 233, 236-237, 240-241, 244-245, 248-249, 252-253などはカラー図版です。白い大理石で造られた古代ギリシアの神殿が、もともとは赤や青、緑といった原色で塗られ、ものすごく派手な建物であったことが丁寧に紹介されています。
古代のギリシア神殿が原色で塗られていた点は19世紀に初めて明らかにされ、最初から大理石造の全体が真っ白な建築であったに違いないと、誰もが疑いもせずに思い込んでいたことが間違いであると分かって、当時は大騒ぎになりました。いわゆるポリクロミー論争。
パルテノン神殿の屋根構造が木で造られていたことも、案外と一般には知られていないのでは。

この種の本で、これまでの権威ある書としては、

Roland Martin,
Manuel d'architecture grecque
(Picard, Paris, 1965)
522 p.

や、A. K. オルランドスA. K. Orlandos:非常に貴重な書)によるものなどが挙げられますが、40年ぶりに、これを大きく乗り越えようとしている意図があることは一目瞭然。
ちなみに4巻の構成は、

Vol. 1: Les principes de la construction (2002)
Vol. 2: Architecture religieuse et funeraire (2006)
Vol. 3: Les composantes de l'urbanisme: l'habitat et les fortifications (en preparation)
Vol. 4: Architecture civile, edifices d'education et de spectacle (en preparation)

完結まで、あと数年がかかる見込みです。
第2巻目には日本人研究者の名も復原図とともに載っており、新しい時代が到来したことが実感されます。

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