2009年1月6日火曜日

Eldamaty and Trad (eds.) 2002


1902年に開館されたカイロ博物館の100周年を記念し、収蔵されている遺物などに関連した論考を世界中の研究者たちから募集して編まれた2巻本です。総計で1300ページ以上、130編の論考を所収。
日本からは2編が寄稿されており、河合望先生と吉村作治先生による論考がそれぞれ第1巻と第2巻に掲載されています。

Mamdouh Eldamaty and Mai Trad (eds.),
foreword by Zahi Hawass,
Egyptian Museum Collections around the World, 2 vols.
(Supreme Council of Antiquities, Cairo, 2002)

Vol. 1: xiii, pp. 1-701.
Vol. 2: pp. 702-1276 + arabic, (viii), 101 p.

南アフリカ、ウルグアイ、セルビアといった国に収蔵されている古代エジプトの遺物の様子も伝えられており、興味が惹かれるところ。

ナルメル王のパレットで見過ごされてきた詳細部があると、V. Davies とR. Friedmanが報告しています。100年以上も気づかれなかったと書いてありますが、それだけ些細であるということ。
しかし、エジプト学者たちにとって長く特別視されてきた名高い遺物でさえ、未だに不正確に報告されている部分があるという問題点の指摘の仕方に結論を持ってくるところは上手です。論文の書き方のお手本。首などを切り取られた人物像を扱い、内容も面白い。

この他にも、注意すべき論考が掲載されており、第1巻ではたとえばE. Brovarskiが建物の姿から取られたヒエログリフの見直しをやっていたり、G. Burkard, M. Goecke-Bauer, S. Wimmerたちがディール・アル=マディーナ(デル・エル=メディーナ)のオストラカに関するインターネットを使った公開を報告しています。粗く見積もってその総数はおよそ20000点と記されており、主要なこれまでの刊行物がリストアップされています。
似たようなデータベースはレイデンでも作成されていて、体系的で詳細な文献リストも発表されているのですが、ドイツ系の学者たちによる方法はまたそれとは異なり、カラー写真なども添付。
第2巻ではA. Nibbiが地鎮祭について書いています。

図版、特に写真の状態はあまり良くありません。
1208ページの"PL. XYX"では、同じ写真を2枚掲載するなど、多少の乱れも目につきます。ここの論文を書いているのはS. P. Vleemingで、カイロ博物館におけるナンバリング・システム、つまり番号付けの方法に関する文献を紹介しているのは参考となります。

B. v. Bothmer, "Numbering Systems of the Cairo Museum," 
Textes et langages de l'Egypte pharaonique, III (BdE 64-III, Cairo, 1974), pp. 111-122.

しかしこれほど多くの研究者たちの論文を集めている本は近年、珍しい。国際エジプト学者会議録を除くと、ほとんど絶無です。
ただ何事にも例外はあって、フランスの大御所であるJ. ルクランの献呈論文集は4冊からなり、索引も付された献呈論文集という点が前代未聞です。4冊で2000ページに及ぼうとする大著。

Chatherine Berger, Gisele Clerc et Nicolas Grimal (eds.),
Hommages a Jean Leclant, 4 vols.
Bibliotheque d'Etude (BdE), tomes 106/1-4, IF 741A-D.
(Institut Francais d'Archeologie Orientale (IFAO), Le Caire, 1994)

Vol. 1: Etudes pharaoniques (548 p.)
Vol. 2: Nubie, Soudan, Ethiopie (431 p.)
Vol. 3: Etudes isiaques (503 p.)
Vol. 4: Varia (491 p.)

多数の執筆者から成り立っている本は、面倒でも最初から見ていくしかありません。自分が興味のある論文が2〜3本あった場合には、購入してしまえば数年経ってから後悔することが少なくなるかと思われます。

0 件のコメント:

コメントを投稿