2009年1月20日火曜日

Harris (ed.) 2006 (4th ed.)


アメリカのコロンビア大学建築・都市計画・歴史保存大学院コースの名誉教授による建築事典。版を重ね、第4版が近年出ています。1000ページを超える書で、足にうっかり落としたりすると大変危険な本。

Cyril M. Harris,
Dictionary of Architecture and Construction
(McGraw-Hill, New York, 2006, 4th edition.
First published in 1975)
xi, 1089 p.

建築英語事典はたくさん出ていますが、それぞれ一長一短があり、複数揃えることが必要になってきます。
この本は名門のコロンビア大学の建築の学生たちに長らく使わせてきた歴史もあって、図版も2300点を収めており、充実した一冊。当初は"Illustrated Dictionary of Historic Architecture"というタイトルでした。図版を多く入れて説明することに力を注いでおり、その点が特徴。最初の版のページ数のほぼ2倍になっています。

改訂に当たっては図版もかなり入れ替えをおこなっているようで、昔に見たものとだいぶ印象が変わっています。アジアの建築などにも言及していますので、簡単に調べる際には有用。ただし、建築構法の説明にも多くのページを費やしていますので、相対的に歴史関係の記述が少なめになっています。

建築史関連の辞書ということであれば、N. ペヴスナー卿・他による以下の本、

John Fleming, Hugh Honour, and Nikolaus Pevsner,
Penguin Dictionary of Architecture and Landscape Architecture.
Penguin Reference Books
(Penguin, New York, 2000, revised.)
656 p.

が有名です。各様式についても要領を得た説明がなされており、何よりも安くペーパーバックで提供されているのが魅力。この本も改訂を経ています。一冊だけ購入するとするならば、むしろこちらの方がお勧め。旧版については和訳も出版されており、翻訳を手がけているのは東大の鈴木博之教授。
ペヴスナー卿は非常に有名なイギリスの建築史家で、英国における歴史的建造物の基礎台帳を作成したことでも知られている人。

個人が辞書を執筆する場合もあって、

James Stevens Curl,
with line-drawings by the author and John Sambrook,
A Dictionary of Architecture.
Oxford Paperback Reference
(Oxford University Press, New York, 1999. Paperback 2000)
xi, 833 p.

こちらもペーパーバック。この著者は古代エジプト建築について造詣の深い人で、この本では文を800ページ書いている他、図まで作成しているというただならぬ人物。西洋における墓について、またフリー・メーソンについて、いずれも注目すべき本を出版しています。異能の学者です。

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