2009年1月16日金曜日

De Putter and Karlshausen 1992


古代エジプトで用いられた石の本。地質学者とエジプト学者が組んで一冊の本を書いています。クレム夫妻による古代エジプトの石切場の総覧が出版されるまでは、唯一の詳しい本と言って良かったのですが、しかしまだ価値を失っていません。

Thierry De Putter et Christine Karlshausen,
Les pierres utilisees dans la sculpture et l'architecture de l'Egypte pharaonique:
Guide pratique illustre
. Etude no. 4
(Connaissance de l'Egypte Ancienne, Bruxelles, 1992)
176 p., 54 plates

石の名前をフランス語、英語、ドイツ語の各国語で見出しとして挙げ、他にヒエログリフによる名称も記されています。建築や彫刻だけではなく、宝飾品に使われたラピス・ラズリや水晶などの貴石も広く扱っているのが特徴です。
巻末にはカラー写真を多数収め、さまざまな石の色や模様が分かるというのも便利。

古代エジプトの石に関心を持って調査を進めている人としては、他にトレド大学のジェームス・ハーレルという研究者がいて、この人も石のカラー写真をたくさん載せたホームページを作成しています。

http://www.eeescience.utoledo.edu/faculty/harrell/Egypt/Q...

どうやら膨大な量のエジプトの石のコレクションを持っているらしく、「エジプトの石を調べてもらいたいのなら、無料で鑑定します」なんて書いてあります。

エジプトで石の研究をしている人たちはごく少数ですが、これがギリシアやローマ時代の石の研究者となると、数がもっと増えてきます。特にこの時代には仕上げ石としての大理石が好まれたので、それらの流通の問題などが深く関わってくるためです。ギリシア語やラテン語による文字資料も、飛躍的に多くなります。
それらを専門的に研究する学会が"ASMOSIA"で、日本語で言うと「古代における大理石やその他の石を研究する学会」。

ASMOSIA:
Association for the Study of Marble and Other Stones In Antiquity
http://www.asmosia.org/index.html

第9回の国際学会はスペインで2009年の6月に開催するとのこと。
年会費はたったの10ドル、もしくは8ユーロです。1000円ちょっとで、すごく専門的な内容の会報が送られてくるから、面白いかもしれません。
これだけ会費が安いと、銀行での手数料でその大半が失われてしまいますから、小切手などでは送らないでください、と注意書きも添えられています。

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