高さが40cmほどの本で、カラー図版を印刷したルーズリーフ形式をとり、バラバラにして見比べることができます。
古くはオーウェン・ジョーンズによる名高い「装飾の文法」(Owen Jones, The Grammar of Ornament. Messrs Day and Son, London, 1856)でも、古代エジプトの天井画とおぼしき文様がカラーで見られますが、ここではもう少し詳しく紹介がなされているのが特色。
お墓の天井画を集めようとしている本というのはなかなかなくて、この他にはElke Roik, Das altägyptische Wohnhaus und seine Darstellung im Flachbild, 2 Bände(Peter Lang, Frankfurt am Main, 1988)などがあるのみですけれども、Roikのこの本には残念ながらカラー図版が掲載されていません。
Gustave Jéquier,
L'art décoratif dans l'antiquité décoration égyptienne:
Plafonds et frises végétales du Nouvel Empire thébain (1400 à 1000 avant J.-C.)
(Librairie centrale d'art et architecture, Paris, 1911)
16 p., XL planches.
G. ジェキエと言えば、マスタバ・ファラオンやペピ2世の葬祭建築を扱った報告書が知られています。建築と装飾に関する資料の収集を心がけた学徒としても有名で、以下の3冊による写真集は50cmを超える高さを有し、20世紀の中葉には良く参照されました。
これもまたルーズリーフ形式で、研究者の便宜を図っていることが分かります。ただ図版はモノクロ。最近ではカラー図版を豊富に載せている本が多数出版されているので、古写真を集めた本として逆に価値が高まっているかもしれません。
Gustave Jéquier,
L'architecture et la décoration dans l'ancienne Égypte (3 tomes)
(Albert Moranc, Paris, 1920-1924).
Les temples memphites et thébains des origines a la XVIIIe dynastie
(1920)
v, 16 p., 80 planches.
Les temples ramessides et saïtes de la XIXe a la XXXe dynastie
(1922)
v, 11 p., 80 planches.
Les temples ptolémaïques et romains
(1924)
iii, 10 p., 80 planches.
主著はおそらく、以下の書。
日本建築史でいうならば、天沼俊一博士を彷彿とさせるエジプト学者でした。
Gustave Jéquier,
Manuel d'archéologie égyptienne:
Les éléments de l'architecture
(Picard, Paris, 1924)
xiv, 401 p.